【山崎ジャーナル:冤罪被災者のきもち-3】

「自殺防止で留置施設」という名の下の、過酷な2種類の独房が存在する。

共同通信の速報によると、

→ NY市内の留置施設に収容されている国際通貨基金(IMF)専務理事のストロスカーン容疑者(62)は17日、自殺防止のため常時監視される特別態勢下に置かれた。

という報道だが、ここはチャイナタウンに隣接する、NYダウンタウンにある南部地区・連邦地裁の新ビル隣に建つ、MCC-New York = Metropolitan Correctional Center。

1階には事務所と駐車場があり、地階が厨房と倉庫、2階には200人収容の女子専用房で、3階から14階までが男子房。トップフロアには窓のない、拷問房と恐れられるテロリスト監禁用の独房。屋上には、時間交代制の屋外運動施設が2つあって、鋼鉄製のバードケージにすっぽり覆われている。

これは脱獄を防止するため。

その昔、70年代にマフィアの親分が上空から降下してきたチャーターヘリによって、空からの脱獄を成功したために、ガッチリ鉄網で覆われたとのこと。

私、「監獄の歌姫」は無実のまま、3か月の東京拘置所収監のあとの2005年10月25日に、小泉政権の南野法務大臣命令と東京高裁判決により、この悪名高きMCC New Yorkへ移送され、翌2006年9月13日まで未決拘留されていました。

全米で最強の剛腕・強引検察との悪名をとどろかせているのが、この地区を牛耳るニューヨーク連邦南部地検。別名、「国策逮捕」「政治犯」収容所として知られる、きわめて特殊な国際(容疑者)未決拘留・収容所。

「未決拘留」とは、これから裁判に臨む「無罪推定」の容疑者の拘禁を意味するはずだが、なぜか処遇は、きわめて過酷。刑務所より過酷な処遇と劣悪な環境で、食中毒から肝炎、エイズ、がん患者まで、様々な感染症と病魔が蔓延する、あきれるほど非人道的で暴力的な不潔な監獄である。

そこに11カ月もブチ込まれて、食中毒と肝炎に感染させられた目撃証人の私が言うのだから、証言はリアル。病魔や感染症、不定愁訴と闘う「命の戦い=生存競争」で、もう精いっぱいだから、とても裁判の準備なんてやってられる環境じゃない。

みんな、バタバタ倒れていく。

長期未決拘留者が大半を占め、みんな裁判を待つというより病気で寝込んでいる、ホスピスまたは精神病棟のような、暗く陰湿な過密牢獄。それが悪名高い、MCC New Yorkの実態です。

今回、5月16日に逮捕拘留された国際通貨基金(IMF)専務理事のストロスカーン容疑者(62)も外国人だが、私を含む、未決拘留者の大半が、合法永住者を含む外国籍の容疑者である。

ちまたでは、「全米で最も過酷な、地獄の拘置所」と恐れられている1000人収容規模の、14階建て巨大“スシづめ”監獄。ここには2種類の独房がある。

1つ目は、通称“SU:シュー”と呼ばれる人間監禁冷蔵庫。

ここに2週間ほど放り込んで、低体温症にさらせば、大抵、やってない無実の主張を激しく訴えている元気印の囚人も、あまりの寒さに思考停止。シュンとなり闘志がなえて、裁判を諦めて検察が強引に押しつける「有罪答弁の司法取引」を、受け入れざるを得ない健康状態に陥れられ、別人のように変貌してしまう。

不当判決を聴いて怒り心頭の私が裁判所から拘置所に戻った直後、2006年7月末に上告準備の真っ最中、このシューにブチ込まれて手足と外部通信の手段を完全に遮断された。これでは、上告手続きも、弁護士との準備もかなわないではないか!

検察の手の中にあって、私は完全無力化された。

手足とコミュニケーション手段を奪って、上訴する権利をはく奪するというのだから、これ以上、汚い手段はない。

これが独房=シューの本質、検察の上告封じの手口と道具としての、「拘置所内・監禁所」の実態である。

2つ目は、通称「自殺予防房」とされる、遠く隔離された24時間監視の独房。

裸にされて、交代で監視がつく。

私が東京からNYへ引き渡されて、2週間ほど経たある日、脱水症状で廊下に倒れ意識を失った時、気づいたらそこへ放り込まれた、裸の自分が震えていた。

倒れた私がその時、必要としていたのは極寒の独房ではなく、清潔な水と温かいケアだった。翌朝まで、治療など一切の医療行為は提供されず、脱水症状の私は危険な状態に陥った。

この独房は、パブリックの目の届かないところに容疑者を隔離し、「瀕死の重傷者を見殺しにして、死に追いやるための独房」だと、私は悟って、ここに2度と入れられないように細心の注意を払うことにした。24時間監視してメモを取るのは、既成事実を積み上げるカタチだけの証拠づくりであって、それは決して“見守り”や保護を意味してはいないこと。

以下の速報で伝えられる、国際通貨基金(IMF)専務理事のストロスカーン容疑者(62)は、上記のいずれかの独房で、私が人権蹂躙されたと同様か、拷問に近い境遇に置かれているのかもしれない。

仮に彼が有罪であっても、拘置所はあくまで「推定無罪」の容疑者を、裁判中に拘留する施設であって、決して、「未決の無罪推定者を、既決の犯罪者のごとく苛烈な処遇で監禁してよい」という非人道的処遇が、許されてよいということではない。

外国籍である彼が、生きて「公平な裁判に臨める」人権が保障されることを、強く米司法当局に要請したい。

私にとっては、あの過酷で非人道的な異常状態は、裁判を放棄しろと米検察に脅迫・強要されたと同等の、あまりにむごい処遇でした。

「公平な裁判の機会なんて、外国人に与えられるはずないでしょ!」

と、弁護士のザップ親子は繰り返し、私を恫喝したものです。

アメリカでは、外国人に公平な裁判を受ける権利は、保障されてはいないのです。

念のため、目撃体験のごく1部を、本日のジャーナルで記録しました。

つづきは、また明日…。

2011/05/18 (水) 15:38 JST  【山崎淑子 記】

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

■ 専務理事、特別監視態勢下に 自殺防止で留置施設

【ニューヨーク共同】

ニューヨーク滞在中にホテルの女性従業員(32)に対する性的暴行の疑いで訴追され、同市内の留置施設に収容されている国際通貨基金(IMF)専務理事のストロスカーン容疑者(62)は17日、自殺防止のため常時監視される特別態勢下に置かれた。AP通信などが報じた。

一方、女性従業員の弁護士は、事件で女性の生活が大きく変わってしまったと指摘。事件が仕組まれたものという見方を強く否定した。

APは司法当局者の話として、同容疑者が自殺をほのめかす言動をしたわけではないが、万一に備えて監視を強化したと伝えた。同容疑者は他の収容者から隔離され独房に留置されている。

2011/05/18 11:39   【共同通信】
【引用終了】

Related Posts

関連記事

Tags: , , , , , , ,

コメントを残す

post date*

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)