「私は、被害者Aではない。伊藤詩織です」元TBS記者のレイプ疑惑を顔出しで公表した理由

「被害者の女性にも悪いところがある」などと、被害者にも落ち度があると非難され、泣き寝入りしがちな性暴力被害者たち。レイプ被害者への偏見は根強く、時に、報復やいじめは陰湿を極め、世間は冷たい。

2017/10/24 Straight News on ITO SHIORI’s Press Conference held at FCCJ on Oct. 24 at 3 pm.

15時からFCCJ日本外国特派員協会で開催されたジャーナリスト・伊藤詩織さんの記者会見

◆ツイート投稿:A related tweet is now distributing around the world!

Sarah Yamasaki 山崎淑子‏ @prisonopera 2017/10/24

山崎ジャーナルは伊藤詩織(手記「ブラックボックス」著者)さんFCCJ記者会見を配信中。
書き起こし要旨を掲載。ご高覧の上、拡散お願いします→動画 http://enzai.9-11.jp/?p=16997 
こちらのTV検証報道も、併せてご高覧下さいませ→ http://enzai.9-11.jp/?p=15939

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◆2017/10/24の午後、都内有楽町のFCCJで行われたジャーナリスト伊藤詩織さんの1時間15分の記者会見要旨を、以下にまとめます。

元TBS社員で元ワシントン支局長の山口敬之氏(51)に対して、伊藤詩織さんは1000万円の損害賠償を求める訴訟を2017年9月28日、東京地裁に起こした。

山口氏は、「一連の経過で犯罪行為を認定されたことは一度もなく、今回でこの案件は完全に終結した。一部報道などで名誉が著しく傷つけられ、法的措置も検討している」とした(2017年9月23日付朝日新聞)。」

 【記者会見の要旨】

伊藤:2年前の2015年、NYでジャーナリズムと写真を学び帰国した。東京に戻り、ロイター通信でインターンに就く。元TBSワシントン支局長の山口敬之氏に(米就労)ヴィザ取得の件などを相談するため、東京で会食。酒を飲み、気づいたら山口氏が自分の(体の)上に乗り、レイプ被害に遭ったことを知る。

これが「悪夢の始まり」。警察に訴え、レイプ・クライシスセンター(レイプ救援センター)へ助けを求めたが、相手にしてもらえなかった。

 高輪署に被害を訴え証拠を提出し、刑事捜査が行われ、裁判所から逮捕状が出て、遂に成田空港で捜査官が待ち構え、帰国した山口氏を逮捕直前、(上部の)刑事部長・中村格(いたる)氏によりストップがかかったとされ、逮捕は突如キャンセルされた。説明のないまま逮捕中止となった背景に、日本のスティグマとタブーがあったと疑義が生じた。

 unreported、レイプケースが報告されるのは5%以下。被害者が被害届を出せないのは、被害者が社会的圧力で「出せない」場合と、警察が被害届を出させない圧力・慣例と風潮があると感じた。

 例えば、捜査員は伊藤さんに対して、「報告しないように。もし報告するなら人生お終い。ジャーナリストにもなれないよ」と、報告しないようにと圧力をかけ続けた。勇気を奮って公にしたら、バッシングを受け、生活は以前と同じではなくなった。

公にして、話しをすることで変化を起こし、性暴力を無視できない社会にしたいと、出版された自著について、日本語で説明。10月18日に文芸春秋社から手記を発表した。

取材をもとに綴ったノンフィクション。2015年に起きたレイプ事件と病院で起きた事、捜査と司法システムの問題について、2年以上、向き合った体験を手記にした。取材を通して、警察と検察で「ブラックボックス」という言葉をよく聴いたので、本の題名を「ブラックボックス」にした。

 「これは遠い誰かの話ではなく、いつでも、どこでも、誰にでも起きえること。何が必要かを未来に残すには、何が起こったかの過去を話す必要がある」。

 検察の不起訴を受け、

9月22日に検察審査会から「不起訴処分を覆す裁定を出す理由がない」との結論。審査会からは、証人や申し立て人が呼ばれることもなかった。防犯カメラの動画が提出されたかどうかも、わからないままブラックボックス化。

 質問状を出したが、検察審査会法26条により、審査の過程は非公開。開示されたのは、審査委員の男女比と平均年齢のみ。男7人、女4人の構成で平均年齢は50,45歳だと。

 

◆山口のりゆき氏が認めている事実は、以下の9件。

1.TBSワシントン支局長で働くためのヴィザ申請の話しで、会った。

2. 被害に遭ったのは、3回目の会合だった。

3.恋愛感情はなかった。

4.泥酔状態だったと、山口氏は認識していた。

5.  山口氏の滞在ホテルの部屋に、私を連れていった。

6. 性行為があった。

7.伊藤さん(被害者)の下着に付着したY染色体が、山口氏のものと確認。

8. ホテルの防犯カメラの映像と、タクシーの運転手からの証言を捜査官は集め、伊藤  さんは意識なく、「駅で降ろしてほしい」「帰りたい」を繰り返していた。

9. 逮捕の当日、捜査官が逮捕状をもって成田空港で待機するなか、当時の刑事部長・中村格(いたる)氏によって「逮捕直前に突然、キャンセルされた」。その理由を質問しているが、中村氏からは無回答。

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logmi  【全文書き起こし】

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【全文1/2】伊藤詩織氏、2年前の「悪夢の始まり」を振り返る 元TBS記者によるレイプ被害を告発

http://logmi.jp/242770

【全文2/2】レイプ被害告発の伊藤詩織氏「女性からのバッシングもあった」 会見中には元TBS同僚の行為を非難する記者も

http://logmi.jp/242901

「確たる証拠9つ」について、上記サイトより、抜粋引用

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【引用開始】

この本の最後にも書きましたが、私も山口敬之氏も認めている事実、確たる証拠が得られている事実は以下の通りです。

 1. TBSのワシントン支局長である山口氏とフリーランスのジャーナリストである私は、私がTBSワシントン支局で働くために必要なビザについて話すために会いました。

 2. 山口氏にあったのはこれが3回目で、2人きりだったのはこれが初めてでした。

 3. そこに恋愛感情はありませんでした。

 4. 私が泥酔した状態だと山口氏は認識しておりました。

 5. 山口氏は自身が滞在しているホテルの部屋に、私を連れて行きました。

 6. 性行為がありました。

 7. 私の下着のDNAを検査したところ、そこに付いたY染色体が山口氏のものと過不足なく一致したという結果が出ました。

 8. 意識のないまま引きずられていく私が映ったホテルの防犯カメラの映像、タクシーの中で「駅で降ろしてほしい」と、私が繰り返し言っていたというタクシー運転者の証言などを集め、警察は逮捕状を請求し、裁判所はその発行を認めました。

 9.逮捕の当日、捜査員が成田空港で帰国する山口氏を待ち受けると、当時の刑事部長の中村氏によって逮捕が突然取りやめられました。

以上の9点です。これだけの事実があっても現在の日本の司法システムでは、事件の起訴をすることさえできません。

【引用終了】

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◆現在、民事訴訟を起こしているが、第三者による公平な判断を期待する。

 

◆この問題を報じる(報じない)メディアの姿勢に疑問を呈す。

「中村氏の判断で突然、逮捕がキャンセルされて以来、メインストリーム・メディアに相談したが、どこも扱ってはくれなかった。週刊新潮から取材依頼が来ただけでした。不起訴だから報道できないのではなくて、結審していなくても、弱者の声を報じる価値はある」。

 「最後に、この本で述べたかったのは、司法システムへの社会の意識改革、レイプ被害を受けた人への救済システムが必要。今年7月から強姦罪が改正され、

改正後は「強制性交等罪」と罪名が変わったものの、依然として「暴行・脅迫要件」が緩和されませんでした。でも、被害者側がどれだけ暴行や脅迫をされたのかを証明するのは本当に難しい。日本は改正に110年かかった。これまで被害者が声を上げ続けた結果、こうして改正刑事法が施行に至った。

 「広く問題意識を持つことで、社会を変えられる。レイプ被害者の7割がフリーズ状態に陥るという事実は見逃せない。3年後の見直しが必要。」

 

質問:スカイテレビのピオ・デメリオ氏(弁護士):刑法248条の「起訴便宜主義」について。弁護士会の中で、改正の動きがあるか?

伊藤さんの弁護士の回答:あるかないかは把握しておりません(弁護士の杉本さん。

 デメリオ氏の質問:自民党の佐藤栄作氏のケース、逮捕状が出たのに、法務省がブロックして逮捕に至らず、総理大臣に出世して、その後、ノーベル平和賞まで取った。

 

質問:ジェイク・アデルソン@ジャパン・タイムス。

週刊新潮5月号、243ページの記述について、伊藤詩織さんへ質問。

「中村氏の意図はわからぬが、2人きりで食事か飲みに行くことは、同意を意味するとのアンケート27%が回答。タクシーに同情したら、同意を意味すると思うと25%がNHKのアサイチでアンケート回答」。

 

フィガロ紙記者の質問:「女性が、女性の性暴力被害に理解とシンパシーがない国、日本。慰安婦問題でさえも、女性のシンパシーがない日本の現状。伊藤さんのケースは、国会で議論されるべきと思うか?」

伊藤:脅迫やバッシングやネガティブなコメントを受けたことがある。日本女性が置かれた状況を考えれば、地位、影響力がない女性には限界があり、日本の女性、違う意見を持つ女性と意見交換をしてみたい。

「国会でも議論してほしいと思う」。

 

◆​日本は性モラルに関しては三等国…。

◆性被害者が糾弾される国だからな…。

とのツイート意見が流れてきた。

 

質問:ノーボーダーの上杉隆氏。

2005年5月の時点で、山口氏はすでにワシントン支局長ではなかったという事実。「メディアが、同業のジャーナリストに、シンパシーがない」。

なぜ、5月にFCCJのプレスコンフェレンスが持たれなかったのか?

伊藤:「司法記者クラブに出ない記者に、FCCJでは話せるから、5月にFCCJで会見したかったが断られた」。

PC was refused by FCCJ in May, they explained the reason such as, “Too personal, too sensitive”.

との理由で、5月に拒否された旨を、次の回答者、FCCJ会長のアズハリ氏が説明する。

 

回答:カルドン・アズハリ

「クラブで民主主義的投票がなされ、提案は却下。今回、再度、提案され投票で開催が決議された。委員会で当初反対だったのは、詳細が明らかにされていない段階よりも、裁判の結果が出てからのタイミングのほうがベターと判断された」。過去に記者会見を開いたオーストラリアン軍属女性のレイプ被害事件は、犯人が捕まり有罪判決が出たあとのタイミングだったので、開催が決済されたもので、今回の伊藤さんのケースとは異なる」。

 

質問:TBS金平さん(TBS元ワシントン支局長)

「このケースは、就職話しにからんだ卑劣な事件で、元の同僚がこんなことをするのかと信じがたく、恥ずかしい。モラルが問われ、怒りにかられる。著書を読んで、警察が示談を斡旋した。捜査員がしきりに示談をすすめて弁護士まで紹介した。詩織さんのほうから示談を働きかけたのか?」

伊藤:高輪署から事件捜査が警視庁第一課へ移った。山口氏の弁護士から示談が持ちかけられ、私は弁護士を探していたので、警視庁の車で(警察に紹介された弁護士の元へ)連れて行かれたところ、示談をすすめたので私は依頼しなかった。どこに(山口氏の)逮捕状があるのか、どこへ行ったのか?どうなったかを知るために弁護士を必要としていたが、示談目的の弁護士は必要としなかった。

金平:「警察が示談を斡旋しているが、どのような状況だったのか?」

警察から紹介された弁護士と話したが、示談の話しかしなかったので、警察から紹介された弁護士に依頼しなかった。

 

以上、概略でした。

午後3時から始まった会見は1時間15分で終了。FCCJが生中継しyoutube配信したライブを終了時点で595人が視聴した。

タイムラインには、

「警察でかかわった人で真実を暴露する人はいないのかな。前川さんみたいな。」とのコメントが流れてきた。

が、内部告発を警察・検察に期待するのは、残念ながら不可能に近い夢物語かと…。

 

高橋氏の質問:日本は、クラブ制度の弊害により、権力におもねる「アクセス・ジャーナリズム」が主流。権力と対峙し、弱者の側に立つジャーナリズムは期待できない。

伊藤:「警察に話しに行くのに勇気がいた」

「真実を伝えなくてはと…個人的な話しとして捉えていたのではなく、将来のため。被害者は自分を責めがち」Sexual violenceをなくすための啓発が必要。著書の「Black Box 真実がここにある!」を、自分の大切な人に起きたこととして捉えて読んでほしい。

「私が考えるジャーナリストの仕事は、小さな声に耳を傾けること」

日本の報道の自由度は、世界の70位以下だった。

(後略)

【司会者 あやこ・みえmoderator FCCJ】

聴き書き起こしと、まとめ:山崎淑子。

2017/10/24 16:15終了

 

【編集者、Sarah Yamasakiのコメント。記者会見を聞いて】

山口氏が反訴しないのは、裁判で「事実と証拠が公表されるのを恐れ、示談・和解に持ち込む算段ではないか?」との憶測が囁かれている中、山口氏は自身の弁で、

「一連の経過で犯罪行為を認定されたことは一度もなく、今回でこの案件は完全に終結した。一部報道などで名誉が著しく傷つけられ、法的措置も検討している」としている(2017923日付朝日新聞)。

今後、民事裁判の行方を注視したい。

山崎淑子 記。

2017/10/24

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参考:HUFFPOSTから転載

2017年10月17日 07時29分 JST | 更新 2017年10月20日 16時54分 JST

http://www.huffingtonpost.jp/2017/10/16/black-box-shiori-ito_a_23244676/

huffingtonpost.jp – ジャーナリストの伊藤詩織さんが10月18日、著書「Black Box」(ブラックボックス)(文藝春秋)を出版する。 就職相談のため元TBS記者の男性と食事をした夜に「お酒などを飲まされて、望まない性交渉をされた」と記者会見で訴えてからおよそ5ヶ月。 世の中に向かって声を出したのに、メディアや警察を始め司法がきちんと受け止めてくれなかったこと。そして、性犯罪の被害者に”冷たい”社会のこと。日本の現…

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【参考:本日の伊藤詩織さんインタビューは日英両語で行われたものですが、内容の大半はHuffPost Japanに掲載されたものと重複します。ご参考のために下記もご覧下さい。】

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「私は、被害者Aではない。伊藤詩織です」元TBS記者のレイプ疑惑を顔出しで公表した理由

「被害者の女性にも悪いところがある」性暴力への偏見は根強い。

 HuffPost Japan

2017年10月17日 07時29分 JST | 更新 2017年10月20日 16時54分 JST

竹下隆一郎  ハフポスト日本版 編集長 Editor-in-Chief, HuffPost Japan

笹川かおり  ライフスタイル編集長 / ハフポスト日本版 副編集長

http://www.huffingtonpost.jp/2017/10/16/black-box-shiori-ito_a_23244676/

 

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【転載貼付開始】

性の被害は長らく、深い沈黙の中に閉じ込められてきました。

セクハラ、レイプ、ナンパ。ちょっとした、”からかい”。オフィス、教室、家庭などで、苦しい思いをしても私たちは声を出せずにいました。

いま、世界中で「Me,too―私も傷ついた」という言葉とともに、被害者が声を上げ始める動きが生まれてきています。

ハフポスト日本版も「Break the Silence―声を上げよう」というプロジェクトを立ち上げ、こうした動きを記事で紹介するほか、みなさんの体験や思いを募集します。もちろん匿名でもかまいません。

一つ一つの声を、確かな変化につなげていきたい。

メールはこちら break@huffingtonpost.jp

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『Black Box』(文藝春秋)定価1400円+税。全国の書店ほか、Amazonなどのネット書店で購入できる。

 Black Box 単行本 – 2017/10/18

伊藤 詩織 (著)

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【参考:以下、HUFFPOSTの伊藤詩織さんインタビューの抜粋転載】

——本を出版しようと思ったきっかけは?

事件直後から、色々なメディアの方とお話をしてきましたが、不起訴(嫌疑が不十分で裁判にならない)という結果になったこともあり、なかなか取り合っていただけませんでした。

そんな時、メンターとして慕っているジャーナリストから、「最終的には、自分で発信するしかない。本を書くしかない」と言われました。言われた時はもう少し先のこととしか考えていなかったです。

私が会見をした後、2017年6月に性犯罪の厳罰化をめざす改正刑法が成立しました。法律は変わりましたが、警察の捜査システムや病院の受け入れ方を一緒に変えないと意味がないと思っていました。

そんな時、編集の方に、「詩織さんが会見をしたことで少し扉が開いた状態なのだから、今だったらみんなが話を聞いてくれる。あなたの一番言いたいことを伝えられるタイミングなんだ」と声をかけられ、本の執筆を決心しました。

元TBS記者は準強姦容疑で告訴されたが、東京地検は2016年7月、嫌疑不十分で不起訴処分(裁判にならない)とした。東京第六検察審査会は「不起訴相当」とする議決(捜査資料をもう一度精査したが、不起訴を覆す理由がないという判断)を公表し、元TBS記者は「一連の経過で犯罪行為を認定されたことは一度もなく、今回でこの案件は完全に終結した。一部報道などで名誉が著しく傷つけられ、法的措置も検討している」とした(2017年9月23日付朝日新聞)。

伊藤さんは、元TBS記者の男性ジャーナリスト(51)に1000万円の損害賠償を求める訴訟を9月28日、東京地裁に起こした。

——タイトルの「ブラックボックス」に込められた意図は?

検察や警察の方から、今回の事件は「(性行為が行われたのは)密室だから2人にしかわからない」「ブラックボックスだ」という言葉が何度も出てきたんですね。だからこそ、性犯罪は見えづらいし、被害者の話を信じてもらえない面があります。

今回の事件について「不起訴相当」という結果が出たところも、「一体何を踏まえて(その判断をしたのか)」という思いがありました。

日本の至る所にあるブラックボックスに、どう光を当てるのか。外からは、わからないと言われている様々な「箱」を開けて、みんなで話し合って、考えていきたいと思いました。

日本では、性犯罪被害は「忘れるまでそっとしておこう」といった風潮がありますが、社会として会話を続けることが大事だと思いますか。

日本の社会では、性暴力のトピックを話すことがタブーになっていると感じたので、雰囲気だけでも変えたかった。話さなければ何も分からないし、変えられない。

——本では、「自分は、名前も顔もない『被害者A』ではない。過労死に追い込まれた電通社員の高橋まつりさんも実名が出たから『世の中を変えた』」と書かれていますね。

警察の捜査中、「泣いてくれないと被害が伝わらない」「怒ってくれないと分からない」というステレオタイプ的な被害者像を求められている、と感じました。性犯罪の被害者は「傷ついて泣き続けているだけの人」というイメージがあるようですが、そこから一歩でも抜け出すために自分の名前を出しました。

2017年5月に東京の司法記者クラブで、今回の件について、記者会見をしたとき、(首筋がみえるぐらいの)私の服装を批判する人がいました。「白いシャツを首まで閉めて、泣いていたらみんな信じたのに」という声です。

すごく怖いと思ったんです。そういう姿でないと、「話も聞いてもらえないのか」と。

——家族も大変だったと思います。

・・・中略・・・

家族は……。すごく混乱したと思います。妹とは、本にも書いていますが、まだ話ができていないです。すごく大切な妹だったので、友達にお願いして妹の支援をしてもらっています。妹などの若い世代はインターネットのメディアに触れるから、ネガティブな情報も一番多く見聞きしてしまったんだろうなと思います。

やっぱり、家族が一番不安に思っていたのは、私や家族の将来のことです。でも、なぜこちら側がそんな心配をしなければいけないのか、理解できなかった。

なぜこの話をするか。自分のためでも、家族のためでもあり、友人のためでもあるんです。いつどこで誰に起こるかはわからないことだから、一刻も早く社会全体で話し合って考えて変えていかなくてはいかない、と最初からずっと考えていました。

——日本の刑事手続について、どのような疑問が浮かび上がりましたか?

最初から警察は「こういう性犯罪はよくある。(立件が難しいから)できない」と言っていました。最初聞いた時は「え? 」という感じですね。私が担当の方に「どうして?」「どうして?」と聞き続けると、「検察官からこう言われたから。自分も板挟みだ」としか言わないんです。

日本の司法システムを考えると、日本はとても有罪率が高いですよね。立件できない、起訴ができないと現場の人が考えてしまうと動かなくなる。捜査機関の仕事は”捕まえること”も大事ですが、本来の仕事は”調べること”ですよね。司法の問題がそのまま反映されているものだと当初から感じていました。

捜査員の方と話していると、はき違えているな、と思うことがありました。「被害者が嘘を言っているか見抜かなきゃいけない」という思いが過度に強すぎるのか、被害者に何度も何度も同じ話を聞くんです。

もちろん両方の立場から調べないといけませんが、嘘をついているとするなら、そうだと思った証拠や根拠をまずは見つけるべきです。最初から同じ話を何度も何度もさせるのも、苦しかったです。

・・・中略・・・

——著書では週刊新潮の報道などをもとに、「警視庁の刑事部長の判断によって、逮捕状の執行が突然止められた」という指摘をされています。

不自然な点があり、どうして捜査を止めたのかが分からない。今回、この本を出すため、(元刑事部長には)取材を何度が試みましたが、まだお話を伺えていません。

逮捕までいかなかった理由を聞かないと、どうしても「恣意的なことだったんですか?」と聞きたくなってしまうし、もし過去にそういう事例があるのであれば、どういった事例だったのかを教えてもらわない限り、私の質問は終わらないです。

そういう質問をしているメディアもあるようですが、警察側は答えないのでしょうか。だったら「答えないのはなぜ?」って聞いていかないと。「あ、そうですか」ではだめです。機会があれば質問を投げかけてほしいと思いますし、私も調べ続けたい。答えを待っています。

——性犯罪の場合、加害者の”言い訳”としてよく使われるのが「セックスが、同意の上だと思っていた」というセリフです。はっきりと「イエス」と言ったわけではないのに、身勝手な主張をするケースが多い。

「イエス」じゃなかったら、イエスじゃないんです。「ノーではないからイエス」ではありません。「イヤよ、イヤよも好きのうち」という言葉が日本語にありますが、誰の目線の言葉なのでしょうか。驚いてしまいます。

改正後の「強制性交等罪」では、依然として「暴行・脅迫要件」が緩和されませんでした。でも、被害者側がどれだけ暴行や脅迫をされたのかを証明するのは本当に難しいですよね。スウェーデンのある関係機関の研究では、被害者の約7割が、フリーズ(放心)状態になってしまう、という結果も出ています。

たとえ相手が自分との性行為を望んでいると感じても、そうではないこともあるかもしれない。そういう勘違いは、きちんと相手のことを考えていたら起きないことだと思います。とても難しい問題に思われるかもしれませんが、実はシンプルなこと。相手が性行為を本当は嫌がってないか、大丈夫か、気に掛けることだけでも性犯罪は防げるのではないでしょうか。

NHKの番組「あさイチ」のアンケートで、「性行為の同意があったと思われても仕方がないと思うもの」という質問に対して、「2人きりで飲酒」「2人きりで車に乗る」「露出の多い服装」などと答えた人がおよそ2〜3割いました。こうした行為をするだけで犯罪にあっても「仕方がない」という風潮にとても驚きました。

————内閣府の2015年の調査では、女性の6.5%が異性から無理やり性交された経験があると回答し、そのうち少なくとも、75%近くが加害者の顔を知っていたそうです。今回、元TBS記者も、詩織さんの知人でした。

それくらい普通に起こることなんだ、ということを認識するのが必要だなと思っています。いくら友達でも、いくら信頼していても、起こり得ることです。自分が暴力的な行為を受けとってしまったら、受けた方は絶対にわかるんです。それを基準にしていけばいい。

——詩織さんのケースを特殊なことだとは思いません。女性の友人に聞いても、上司から飲みに誘われたり、プライベートなLINEが来たりする話を聞きます。日本企業の仕事文化も変えないといけないのでしょうか。

「あさイチ」のアンケートが正しければ、怖くてアフターファイブを過ごせないですよね。

仕事後の食事は、どうしても会社員として参加しなくては行けないというプレッシャーがありますが、どれだけリスクを負って参加しないといけないのか、とも思います。

——今日の日本社会で、詩織さんが、実名で被害があったと告白することはとても勇気が必要だったはずです。改めて、どう思っていますか?

後悔はありません。ただ、自分の生まれ育ったよく知っている街で同じように行動できなくなったのは、残念です。先日、友人とカフェに行ったときも、急に写真を撮られました。友人にも申し訳なかったです。

でもありがたいことに、今の仕事は、海外でやっているものが多いし、もし日本で今まで通り行動ができない不安があっても、他の場所で仕事をやっていけるという自信があります。それがなかったらすごく苦しかったと思います。

ただ、こういう経験をした人みんなが、思い切ってそれを告白したら会社やコミュニティから外れなければいけないとしたら、それは本当に酷です。安心してケアが受けられ、話せる社会にしていくのは、私たちの責任だと思います。

・・・以下、略・・・

【転載終了】

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