秘密保護法「一般人は処罰対象外」はミスリード

【山崎ジャーナル!コラム:『冤罪被災者のきもち』】

特定秘密保護法案が今週後半にも、強行採決されようとしています。

1925年に成立した治安維持法より悪法だと各方面から批判されているこの法案の、危険性と、曖昧なガイドラインに抗議が噴出。先週、11月11日(月)には日本外国特派員協会FCCJから反対声明が発表され、同日午後には日本人ジャーナリストの重鎮が日本記者クラブで会見を開き、抗議の声を上げています。

山崎ジャーナルもまた懸念を指摘し、断固反対を表明して参りました。

応援してきた森ゆうこ前参議院議員も、生活の党も、公式に反対声明を発表しています。

当、山崎淑子の「生き抜く」ジャーナル!が同法案の成立に反対する理由は山ほどありますが、最大の懸念は、これが「米国並みの(警察)法整備を整えるように」との米側要求によって(アーミテージとナイによるCSIS、2000年のリポート)、日本の警察官僚が準備した法案であるという危険な背景にあります。

ご周知の通り、米国には極めて適用範囲が広く曖昧で冤罪多発の温床となってきた“共謀罪”が存在し、1980年代から猛威をふるって『密告・監視・言論統制社会』を強化させてきました。

これに加えて、巧妙に草案が準備されてきた“愛国者法”を2001年9月11日のテロを口実に、翌月の2001年10月にスピード採決。可決成立させた実績があります。911直後、米国民はテロへの恐怖心と愛国心が高揚するさなかでの「ドサクサまぎれ」の成立に、疑問の声をあげるどころか歓迎ムード一色の雰囲気でした。

NYに30年近く居住していた私は、愛国化と同時に外国人排斥ムードの拡大とヘイトスピーチを許す米国民世論の変貌に絶句し、ニューヨークに住み続けることに恐怖と悪い予感を抱いたものです。

その私が、2005年7月に突然、東京で不当逮捕され、3ヶ月後にニューヨークへ強制送還された米政府による罪状は、「C弁護士との米国共謀“未遂”」容疑でした。なんと私は、NY弁護士資格を持つ日本人男性との“共謀未遂”により、いきなり逮捕・保釈のない長期未決勾留・強制送還されたのです。私がいったい、何か違法子行為を犯したかですって?

911発生時、倒壊現場グラウンドゼロに隣接するビルに新事務所を構えたばかりの私は、倒壊現場写真と動画を事件以降1年間に渡って毎日、屋上から撮影し、周辺の土壌からサンプル採取を続けていました。この事実を隠さず、ニューヨークや首都ワシントンを『危機管理』の行政視察ツアーに訪れる議員団や行政官に証言し、またワシントンの駐米日本大使館に勤務する陸上自衛隊の駐在武官N氏へも詳しく報告していました。

自衛隊の駐在武官に目撃証言した2ヶ月後には、ニューヨークの自宅兼事務所に、複数の米政府機関の強制捜査が(日本出張中の留守宅に)入り、土壌サンプルや映像を含む証拠書類とパソコン全部が押収され、事業継続が不可能になりました。そこでやむを得ず日本へ戻り会社設立、ジャーナリズムは休業。オンラインショップを開設して、日本伝統技術の海外進出とブランディングのコンサルティング事業を運営、“日本ブランディング”事業を展開していました。

ところが、テロから4年近くも経た2005年7月に米政府は、日本政府(法務省)に代理拘禁を求め、私を逮捕勾留し、保釈請求も許されないままニューヨークへ強制送還。愛犬チョコは、薬殺処分されました。

むごい仕打ちが次から次へと続き、その後1年9ヶ月もの苛烈な監獄生活を余儀なくされました。

その後、保釈請求すら許可されず、652日間にも及ぶ過酷な獄中生活の中、拷問や感染による著しい健康被害を受け、2007年5月に出獄したものの、未だに歩行困難など体調不良に苦しんでいます。

この時、同房者に米国人女性ジャーナリストがいました。彼女は、ブッシュ大統領の首席補佐官のいとこで、イラク開戦に反対してバグダッドで「人間の盾」となった反戦活動が政権を怒らせたのか、別件逮捕され、初の「白人米国市民」として“愛国者法”違反の罪で逮捕勾留。

私とNY連邦拘置所で同房になる前、彼女はテキサス州内にある刑務所の精神病棟に4ヶ月も隔離・拷問され、おかしくなっていました。容疑の根拠法は愛国者法。自分は、「愛国者法で逮捕起訴された米国市民では二人目。白人ジャーナリストとしては初の愛国者法ケース」だと、容疑を詳しく説明してくれました。

さて、今国会で審議が始まった特定秘密保護法案を読んでみると、この米国“愛国者法”と、私自身が逮捕起訴・投獄された「実際には犯していない容疑」の“共謀未遂罪”を併せ持った法案であることが判明しました。

そうです。日本の特定秘密保護法案は、日本で3度も廃案になった天下の悪法“共謀罪”と、米国民が「騙された!」「修正第一条と憲法を無力化される“超法規的”悪法だ」とッアメリカ人が後世ずっと後悔することとなる“愛国者法”をベースのお手本として起草された、いわば米国製“爆弾司法兵器”日本版なのです!

日本政府は、米国が911同時多発テロがきっかけで米市民が手放した「言論の自由」喪失の失敗の轍を、愚かにも、日本版NSCと日本版『共謀罪・愛国者法』を“秘密保護法案”の別名の名の下で、今や法制化しようとしているのです!

この危険性を指摘している報道機関とジャーナリストは、一人もいません。

無実の共謀罪で投獄され、長期未決勾留を米国人ジャーナリストと共に経験した実体験がある山崎淑子だからこそ、気づいた法案の凶暴な本性なのです。

ジャーナリストである私が米監獄で無理矢理、たたき込まれた教訓の数々が雄弁に語っています。

「日本版“共謀罪”と“愛国者法”が、特定秘密保護法という別名に化けて、日本に襲いかかっています。日本在住のあなたが、山崎淑子のように冤罪被害者になってアメリカの法律で裁かれるリスクが、この法案によって高まります。黙って成立させたら、後悔あとにたたず。ある日突然、公安警察があなたの家にやって来て、問答無用で連行、投獄されます。あなたが享受していた平和な暮らしは、もう2度と戻って来ないのです。あなたは、これを甘受できますか?もはや他人事ではないのです」。

なぜなら、同法案の森担当大臣は、「一般人は処罰対象外」と国会答弁したものの、決して「逮捕・取り調べ対象外」とは、明言していないからです。

「処罰対象外」の詭弁は、あくまで起訴・裁判までにはいかないかもしれないが、「逮捕・長期未決勾留による自白強要や健康被害、パソコン押収や社会的制裁、市中引き回しによる社会的・経済的抹殺が、日本社会でも発生するかもしれない」可能性を含ませている答弁とみなすべきでしょう。

まさしく、CSIS2000年レポートでアーミテージ氏とナイ氏が日本政府へ「米国並みの法律を」要求し、自衛隊法の改定を経て、今回の秘密保護法案に至った通り、日本は戦後、政治経済・金融・軍事・教育など社会全般が米国化(または米国配下)してきた総仕上げとして、司法の米国一体化が完成しようとしています。

TPPのISDSと、秘密保護法案の抱き合わせによって、

自衛隊が米軍傭兵化するのと同様に、いよいよ日本の司法が米国司法配下に組み込まれる装置=法整備がととのいました。憲法を無力化し、『超法規的』法律として、憲法の上位者に君臨し得る“特定秘密保護法案”と日本版NSCの成立を阻止する選択こそが、日本の自主独立回復への道であると信じます。

読者の皆様に“秘密保護法案”の背景と、“超法規的”であったかつての「治安維持法」より悪法とされる同法の邪悪な本性の一端が、お伝えできれば幸いです。

皆様のご意見とご感想を、山崎ジャーナル!にお寄せください。

2013/11/17 10:35 山崎ジャーナル!

山崎淑子記。

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参考◆日本報道検証機構GoHooさんのサイトから、以下、引用転載します。

http://gohoo.org/alerts/131116/ より転載:

【貼付転載開始】

2013年11月16日

▼特定秘密保護法案の国会審議で森担当相が「一般人は処罰対象外」で、罰則が公務員に限定されると強調したかのような一部報道があったが、実際はそのように答弁していない。

【産経】 2013/11/12朝刊5面「秘密保護法案『一般人は処罰対象外』森担当相、公務員ら限定強調」

【共同】 2013/11/11「秘密保護法、一般人は処罰対象外」

《注意報1》2013/11/16 08:00


《注意報1》 2013/11/16 08:00

産経新聞は11月12日付朝刊で、「秘密保護法案『一般人は処罰対象外』森担当相、公務員ら限定強調」と見出しをつけ、森雅子担当相が罰則は特定秘密を扱う公務員らに限定され、一般人は処罰されないと答弁したかのように報じました。共同通信も「一般人は処罰の対象外」との見出しで報道。しかし、森担当相は、一般人が特定秘密と知らずに情報を接し、その内容を知ろうとしたとしても、処罰の対象とならないと述べていましたが、無条件に一般人が処罰の対象外になるとは答弁していませんでした。

また、産経の記事は、森担当相が「罰則が特定秘密を取り扱う公務員らに限定されていることを強調」したと伝えていますが、そのような発言も確認できませんでした。

産経、共同の記事は、本文で「一般の人が、特定秘密と知らずに情報に接したり、内容を知ろうとしたりしても一切処罰の対象にならない」という森担当相の発言を引用していますが、見出しや記事のリードで、あたかも森担当相が「一般人が処罰の対象外」と答弁したかのように誤解を与える可能性があります。

現在国会で提出されている法案(原案)には、犯罪の主体を「特定秘密に関する業務に従事する者」などに限定して処罰する規定もありますが(22条)、不正な方法で特定秘密を取得した者や共謀、教唆などの共犯については犯罪の主体を限定せずに処罰する規定となっています(23条、24条)。

秘密保護法、一般人は処罰対象外 衆院安保特別委で森特命相 (共同通信 2013/11/11 14:22)

「一般人」は処罰対象外 秘密保護法案で森担当相 (MSN産経ニュース 2013/11/11 15:01)

産経新聞2013年11月12日付朝刊5面

産経新聞2013年11月12日付朝刊5面

 

衆議院国家安全保障特別委員会(2013年11月11日)

 (衆議院インターネット審議中継) ※22:25~23:35より引用

中谷元(自由民主党) 大臣に伺いますけれども、一般の国民または報道関係者が特定秘密と知らずに話したり聞いたことを公言・公表したとしても刑罰に問われるかなと。通常の思想・言論は保障されたものであるという認識をもっております。たとえば、オスプレイの飛行日時、これいつだろうとみんなで相談することは、これはこの法律に引っかかるというように心配をしてらっしゃる方もおられますけども、こういう一般の方々がそういう相談をすること、これはこの法律によって罰せられることはあるのでしょうか。

森(担当相) 委員ご指摘のようなことが罰されることはありません。一般の方がですね、特定秘密と知らずに情報に接し、その内容を知ろうとしたとしてもそれは一切処罰の対象になりません。

特定秘密の保護に関する法律案(第185回臨時国会) (衆議院)

第二十二条 特定秘密の取扱いの業務に従事する者がその業務により知得した特定秘密を漏らしたときは、十年以下の懲役に処し、又は情状により十年以下の懲役及び千万円以下の罰金に処する。特定秘密の取扱いの業務に従事しなくなった後においても、同様とする。(一部、略)

第二十三条 人を欺き、人に暴行を加え、若しくは人を脅迫する行為により、又は財物の窃取若しくは損壊、施設への侵入、有線電気通信の傍受、不正アクセス行為(不正アクセス行為の禁止等に関する法律(平成十一年法律第百二十八号)第二条第四項に規定する不正アクセス行為をいう。)その他の特定秘密を保有する者の管理を害する行為により、特定秘密を取得した者は、十年以下の懲役に処し、又は情状により十年以下の懲役及び千万円以下の罰金に処する。

2 前項の罪の未遂は、罰する。(一部、略)

第二十四条 第二十二条第一項又は前条第一項に規定する行為の遂行を共謀し、教唆し、又は扇動した者は、五年以下の懲役に処する。

2 第二十二条第二項に規定する行為の遂行を共謀し、教唆し、又は煽動した者は、三年以下の懲役に処する。

【貼付転載終了】

 

 

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