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「ファシズム」は個人の行動が積み重なったもの。そんたくや自己規制、自粛といった日本人の得意”な振る舞いによって静かに広がっていく。

集合的なセンチメント・感情に流されず、個人が直感、洞察力をどれだけ鍛えられるかにかかる。

『辺見庸インタビュー』 毎日新聞 5/9東京夕刊より

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 「花は花は花は咲く」とNHKがよく流すせいで、嫌でも耳にするあの歌のことだ。「俺はあれが気持ち悪い。だってあの歌って(戦時中に隣組制度を啓発するために歌われた)『とんとんとんからりんと隣組』と一緒だよね。」

 「芸能タレントとテレビキャスターと政治家が我も我もと来て、撮影用に酒なんか飲んだりしてね。人々は涙を流して肩を組み、助け合ってます、復興してます、と。うそだよ。

 「福島だって『花は咲く』どころじゃないんだよ。非人間的実相を歌で美化してごまかしている。被災者は 耐え難い状況を耐えられると思わされてる」

「今は『花は咲く』を毛嫌いするような人物は反社会性人格障害や敵性思想傾向を疑われ、それとなく所属組織や社会から監視されてしまうようなムードがあるんじゃないの?」

「政府、当局が押しつける政策や・・・お祭り騒ぎを疑う声だって、ほとんど出てこない。それが今のファシズムの特徴です。盾突く、いさかうという情念が社会から失われる一方、NHKの『八重の桜』や『坂の上の雲』のように、権力の命令がないのに日本人を賛美しようとする。皆で助け合って頑張ろう、ニッポンチャチャチャでやろうよと」

言語空間の息苦しさを打ち破れるかは「集合的なセンチメント(感情)に流されず、個人が直感、洞察力をどれだけ鍛えられるかにかかっている。集団としてどうこうではないと思うね」と辺見さん。まずは自分の周り、所属する組織の空気を疑え、と。

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◆特集ワイド:息苦しさ漂う社会の「空気」 辺見庸さんに聞く

毎日新聞 

2013年05月09日 東京夕刊

http://mainichi.jp/feature/news/20130509dde012040020000c.html

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【引用開始】

 ◇今の日本は自己規制、ファシズムの国

 高い支持率を誇る安倍晋三政権。膨らむ経済再生への期待。なのに、この息苦しさは何だろう。・・・彼らへの批判を自主規制しようとする奇妙な「空気」が漂っていないか。何が起きているのか。作家の辺見庸さ ん(68)に聞いた。【藤原章生】

 「イタリアの作家、ウンベルト・エーコはファシズムについて『いかなる精髄も、単独の本質さえもない』 と言っている。エーコ的に言えば、今の日本はファシズムの国だよ」。「ファシズム」とは大衆運動や個人の行動がコラージュのように積み重なったもの。独裁 者の言葉に突き動かされるのではなく、そんたくや自己規制、自粛といった日本人の得意”な振る舞いによって静かに広がっていくということだ。

 ファシズムと聞くと全体主義、ムソリーニ独裁やヒトラーのナチスが浮かぶ。「そういう、銃剣持ってざくざく行進というんじゃない。ファシズムはむしろ普通の職場、ルーティンワーク(日々の作業)の中にある。誰に指示されたわけでもないのに、自分の考えのない人びとが、どこからか文句が来るのが嫌だと、個人の表現や動きをしばりにかかるんです」

・・・略・・・

 「芸能タレントとテレビキャスターと政治家が我も我もと来て、撮影用に酒なんか飲んだりしてね。人々は涙を流して肩を組み、助け合ってます、復興してます、と。うそだよ。酒におぼれ、パチンコ行って、心がすさんで、何も信用できなくなってる人 だって多い。PTSD(心的外傷後ストレス障害)ね。福島だって『花は咲く』どころじゃないんだよ。非人間的実相を歌で美化してごまかしている。被災者は 耐え難い状況を耐えられると思わされてる」

 辺見さんは地中海人的だ。「何を唐突に」と思われるかもしれない。だが、著書「瓦礫(がれき)の中から言葉を」の中にある<根はとてつもなく明るいけれども、世界観と未来観についてはひどいペシミスト(悲観主義者)>や<あの荒れ狂う海が世界への入り口 だったから、いつか、どんなことをしてもあの海のむこうに行くんだと決めていた>といった自己描写は、「南の思想」を著したイタリアの社会学者、フラン コ・カッサーノの言う地中海人の定義にぴたっと収まる。

 カッサーノによれば、地中海人は強大な国家に虐げられた歴史から政府や多数派が求めるものを疑ってかかり、海の向こうに自由を求める。辺見さんも同じだ。引用するのはエーコや哲学者のジョルジョ・アガンベンらイタリア人が目立つ。感性の波がうまく共鳴するのだろう。

 「昔は気持ち悪いものは気持ち悪いと言えたんですよ。ところが今は『花は咲く』を毛嫌いするような人物 は反社会性人格障害や敵性思想傾向を疑われ、それとなく所属組織や社会から監視されてしまうようなムードがあるんじゃないの? 政府、当局が押しつける政策や東京スカイツリー、六本木ヒルズ10周年といったお祭り騒ぎを疑う声だって、ほとんど出てこない。それが今のファシズムの特徴です。盾突く、いさかう という情念が社会から失われる一方、NHKの『八重の桜』や『坂の上の雲』のように、権力の命令がないのに日本人を賛美しようとする。皆で助け合って頑張 ろう、ニッポンチャチャチャでやろうよと」

・・・略・・・

 言語空間の息苦しさを打ち破れるかは「集合的なセンチメント(感情)に流されず、個人が直感、洞察力をどれだけ鍛えられるかにかかっている。集団としてどうこうではないと思うね」と辺見さん。まずは自分の周り、所属する組織の空気を疑えということか。

 きわめて地中海人的な態度と言える。

【引用終了】

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「そんたく」によって広がるファシズム(毎日新聞・辺見庸インタビューより)

2013-05-09

kojitakenの日記

http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20130509/1368104940

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【引用開始】

・・・略・・・(記事引用)

上記はファシズムについて言い尽くされたことではあるが、「そんたく」という言葉に反応してしまった(笑)。

・・・略・・・

A級戦犯容疑者として従来強く批判されてきた元首相を英雄視する史観を、安倍・橋下らを批判してきた人たちのイデオローグが打ち出すや否や、かつての新左翼たちが雪崩を打ってこのトンデモ妄論に「目からウロコが落ちた」と感激し、その中の少なくない者が改憲派へと転向したという事実がある。つまり、体制を批判する側も体制を翼賛する側と何ら変わらないセンチメントによって行動している。

・・・略・・・

コメントより

greenstone 2013/05/11 06:18

ファシズムを支える層は、日本でも現在の中国でも貧しい層です。
日本でも現在の中国でも為政者は彼らを巧妙に利用します。
失うものを持っていない、あるいは持っていても少ない人々は、辛い気持ちをぶつけられる、目に見える、具体的な敵が欲しいものですし、自分たちを守らない既成の体制を破壊しようとします。
しかし、彼らを批判しても意味はない。
kojitakenさんを始めとする「リベラル」の最大の問題点は、弱者を批判し叩くことにあります。落ちぶれてゆく中間層を擁護するのは結構ですが、彼らは今でも様々な制度に守られているし、彼らを保護し彼らの利益を代表する組織も存在します。
それよりも、重要なのは、弱者を理解し彼らの利益を擁護する姿勢だと思います。
中間層を守り、弱者となっている一般大衆を叩くことはますます事態を悪化させることになるでしょう。
「リベラル」による弱者叩きこそが保守一色に染まった現在の政治を背後から支えているのです。

【引用終了】

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◆蔓延する「自己規制ファシズム」「従順ファシズム」

澤藤統一郎の憲法日記

Published in 土曜日, 5月 11th, 2013, at 10:37

http://article9.jp/wordpress/?p=297

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【引用開始】

・・・略・・・

辺見庸さんにひと言の異論。「昔は気持ちの悪いものは気持ち悪いと言えたんですよ」とのご意見ですが、はたしてそうでしょうか。昔からこの国では、はっきりとものが言えなかったし、そのことが「美徳」で、「得意」でもあったのではないでしょうか。

漱石大先生でも「智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくこの世は住みにくい。」とおっしゃっているではありませんか。

もっと古い例を探せば、
「方丈記(第7節)」には、「世にしたがへば、身、苦し。したがわねば、狂せるに似たり。いずれの所を占めて、いかなる業をしてか、しばしも此の身を宿 し、たまゆらも心を休むべき。(世間の常識に従えば、納得しがたいこの身が苦しい。さりとて、従わなければ常識外れと激しいバッシング。いったい、どこで どうすれば、心が安まるだろうか)」とあり、

また、「徒然草」(75段)には、「世にしたがへば、心、外の塵に奪われて惑い易く、人に交われば、言葉、よその聞きに随ひて、さながら、心に非ず。(社会的同調圧力に身をまかせれば、自分自身を失ってしまう。人と上手に付き合おうとすると言葉一つにも相手の意向を気遣いしなければならない。自分の心のままに語ることなんてできっこない)」とあるとおり。

【引用終了】

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