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【緊急対談】20130531

◆小出裕章(京大原子炉実験所)助教×小沢一郎(生活の党)代表◆

■福島第一原発を抑え込むために■

~ 京都大学原子炉実験所研究棟2階会議室にて ~

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2013年05月31日 小出裕章(京大原子炉実験所)助教×小沢一郎(生活の党)代表 緊急対談

YamasakiJournal

http://www.youtube.com/watch?v=-Sm8eBhyLmw

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アップロード日: 2013/07/02

■福島第一原発を抑え込むために■
~ 京都大学原子炉実験所研究棟2階会議室にて ~

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◆130531 小出助教対談後 小沢代表インタビュー

YamasakiJournal

http://www.youtube.com/watch?v=g0hKimUZU8o

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公開日: 2013/07/04

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小沢:「人類未体験の深刻な、空恐ろしい事態が進行中」

小出:「一度に4基もの原子炉が壊れて、未曾有のカタストロフィーが進行しているのに、ただただ注水を続け、石棺で覆うしか対策がない絶望的現状」

「本当のことを言えば、もう手遅れです」

小出:「安倍政権の“原発再稼働”、“新たな原発建設”、“輸出施策”が『アベノミクスの1つの主要な柱だ』という日本政府に唖然とするばかり。なんという国だ!」

小出:「野田(佳彦総理大臣:当時)さんが11年の暮に、『事故の収束宣言』を出した。『冗談を言わないでくれ』と私は思いました。収束も何もしていない、どうなっているかも解らない、ただただ、水を入れるしかないという事態に今、いるわけです」

 

小沢:「小出先生の物理学者としてのお話をお聞きして、私も、自分の従来からの政治的主張に科学的裏付けができた気がして、良かった」

小沢:「当面の利益のために千年、万年の大計を誤ってはいけない」

小沢:「国民的合意で、原発との決別を!風化させてはいけない」

(敬称略)

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◆原発の再稼動は容認しない

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生活の党ホームページ

脱原発視察@ドイツ ―報告書―

. 提言:エネルギー政策の大転換 より

http://www.seikatsu1.jp/special/germany/inc0006.html#r02

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【引用開始】

.原発ゼロの実現と十分な電力確保は両立する

・・・略・・・

昨年3月の原発事故の反省に立って原子力を利用しない場合の電源構成を考えると、総発電電力量の燃料別比率の推移は、下記のように実現可能な数値が提示される。

【電源構成表】

・・・略・・・

2.原発の再稼動は容認しない

 原発ゼロはただちに実現可能である。2012年の夏も、猛暑日にも深刻な電力不足は生じなかった。したがって、代替発電所の進捗状況、今後の燃料調達先 の確保、価格、気候の態様、電力需給見通し等を慎重に見極めながら、また国際枠組を尊重し、外国との協調、地方自治体・住民の意見に配意しつつ、遅くとも2022年までに最終的な廃止を確定する。

 なお、原発の廃止とは、「発電のための施設でなくなる」ことである。それまでの間も原発の新増設と再稼働は容認しないので、大飯原発の2基を含めて実質的な「原発稼働ゼロ」は早期に実現する。

・・・以下略・・・

【引用終了】

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【対談:書き起こし】

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人類未体験の深刻な、空恐ろしいほどの事態が進行中

 

小沢一郎代表(以下、小沢):

社民党、共産党は別だが、我々は脱原発を正式に主張している唯一の政党だと思っている。私どもは(昨年、2012年秋)ドイツにも行って、原発関係者だけではなく政財界の皆さんにもお会いして、国民も含めて「一致して脱原発を決定」し、それに向けて進めていくお話を伺い、しかも「最終的な国民の決断をしたのは福島の原発事故だ」という事で、「元の日本はどうなっているんだ」と、逆に質問を受けたりした経過がある。

 

いずれにしても我々としては、福島原発事故という災難があって、これを契機に原発とは決別すると。そして新しいエネルギーを国策として、国として採っていくべきであると、今後もやっていこうと思っている。

 

小出裕章助教(以下、小出):

ありがとうございます。ぜひよろしくお願いします。

 

小沢:

当面、目の前にあるものとして、福島原発事故の対応をどうすればいいか。私は素人だから解らないが、このままでは福島や東北だけではなくて、日本の将来も危うい。それほど深刻な事故ではないかと。それに対して余りにも政府の対応が甘すぎる、いい加減すぎる、今や風化されつつある。「もう大丈夫だ」、みたいな話で。真面目に考えると、空恐ろしいような気がする。そこでまず脱原発という方向で、当面の事故(対策)、放射能を収束しないといけない。その事についてぜひ、先生のご意見を今日はお伺いできればと、参りました。

 

小出:

やるべき事は単純だ。原子力発電所が動いてしまって、膨大な核分裂生成物を作ってしまった。それが今や、炉心にあったものが溶け落ちて、どこにあるか正確に把握する事すらもできない状況で、ただただ、ひたすら水を入れて、これ以上の破壊を食い止めようとしている。それを2年以上続けているが、なんとしても破壊された原子炉の中から放射性物質が、これ以上噴き出してこないようにする。それだけ。ただそれが、一度に4基もの原子炉が壊れてしまうという、人類がこれまで経験した事のない非常に深刻な事態が進行していて、私にとっても実は、どうして良いか解らない。思いついた事を事故後から発言し、政府や東電に(対して)して欲しい事を提言してきたが、なかなか、それすらやっていただけない。例えば現在、汚染水が溢れてしまって、私は近い将来に海に流さざるを得ないと思っているが、本当はそんな事をしてはいけなかった。

 

事故直後に10万トンもの汚染水があった時に、私は巨大タンカーを連れて来て、移して漏れないようにすべきだと(進言した)。そのタンカーを東京電力・柏崎刈羽原子力発電所に走らせれば、そこには廃液処理装置がある。柏崎刈羽原子力発電所は止まっているし、廃液処理装置はあるので、そこで処理できると提言して、何人かの国会議員の方とも話した。「やります」と言ってくださった方もいたが、(未だ)なされないまま。今や30万トンもの汚染水が敷地のタンクに貯められている。それでも間に合わないので貯水槽に貯める。そうしたら漏れてしまった。もっともっと早くやるべきだった。

 

汚染が地下水と接触してしまうと汚染の拡散を防げなくなるので、「早く原子炉建屋の地下に遮水壁を張り巡らせて、炉心あるいは放射能汚染水と地下水が混ざり合うのを防ぐべきだ」と発言したが、それも未だにやっていただけないまま。「これから遮水壁を作る」と言い出している。あまりにも遅過ぎると思うし、政府の対応のまずさ、専門家の愚かさをつくづく思う。

 

 

■メルトダウンして抜け落ちた放射能の本体が、どこにあるのかさえ、特定できていない悲惨な現状

 

小出:

私が提案したような事は、まだまだ瑣末な事だ。放射能の本体は溶け落ちた炉心にあり、それが原子炉建屋のどこにあるか、あるいは既に床を突き抜けているか、それを知る事ができない。いずれ何とかしないといけない事は確実だが、それをやる事もできないと、実は思っている。とにかく使用済み燃料プールにある燃料は、少しでも安全な所にどかせる。その上で溶け落ちた炉心を掴み出して安全な所に移す、というのが今の政府の方針。私は使用済み燃料プールの底にある燃料は必ず移さないといけないと思っている。ただそれすら、一体、何年かかるのだろうか?

 

4号機でそれ【使用済み燃料プールの燃料を安全な所に移すこと】をやろうとしているが、今年末から掴み出し作業が始められるかもしれないが、1,331体もプールの底に沈んでいるそれを1体も取り落とす事なく、きちんと移せるか?それすら私は不安だ。1号機にも2号機にも3号機にも使用済み燃料プールがあって、その中にも(核燃料棒は)沈んでいる。1号機、3号機は建家がぐちゃぐちゃに壊れている。プールの中に瓦礫が落ち込んでいる。それを掴み出せるか解らない。でもやらなければいけない。何年かかるか、多分10年かかるだろう。私も小沢さんも、死んでしまっているかもしれない。それぐらいの時間が、かかるのです。

 

 

■チェルノブイリのように石棺を造る事になる。チェルノブイリは1つでよかったが、福島の場合には3つ、悪ければ4つ造らなければならない

 

小出:

それを終えてから、溶け落ちた炉心の掴み出し作業をやる事になるが、多分、私はできないと思う。そうなれば、チェルノブイリのように石棺を造る事になる。チェルノブイリの時は1つでよかった。福島の場合には3つ、悪ければ4号機も含めて4つ造らなければならない。小沢さんはご存じだと思うが、チェルノブイリの場合は27年経って初めに造った石棺がボロボロ。いま、第二石棺を造ろうとしている。仮に、福島でうまく石棺が造れたとしても、また30年後、あるいは40年後になれば新しい石棺を造る作業が待っている。その時、私も小沢さんも確実に死んでいる。要するに若い世代の人が、ずっと引きずっていかなければいけない困難な状況だ。やるべき事は解っているが、本当に難しい課題が今、あると思う。

 

小沢:

何かの報道で見たが、溶けて突き抜けてしまって、どこまでいったか解らないという熱い燃料で、下の1メートル数十センチのコンクリートがあと2〜30センチで抜けると東電が発表したと、小さく報道された。それ以後、報道されていないが。それが突き抜けてしまうという事は、地下水が当然汚染される事になる。どういうふうな燃料が、どの程度なのか解りませんが。

 

小出:

原子力発電所の燃料は、炉心という部分に元々はあるわけで、大雑把に言うと一つの原発に100トンのウランが瀬戸物に焼き固めてある。瀬戸物は熱で溶かそうとしも溶けない。お茶碗やお皿とか、ガスコンロにかけても、焚き火に放っても、もちろん溶けない。その瀬戸物が溶けてしまったわけです。ウランで作った瀬戸物は2,800度を超えないと溶けないが、それが溶けてしまった。お皿1枚、茶碗1枚ではなくて、100トンの瀬戸物が溶け落ちたと言っている。原子炉圧力容器という鋼鉄製の圧力釜の底に落ちた。鋼鉄は1,400〜1,500度になると溶けてしまう。福島第一原子力発電所が採用している沸騰水型は、圧力釜の底に制御棒を動かすための細いパイプがたくさん突き刺してある。ですから2,800度を超えて100トンもの瀬戸物が落ちてくれば簡単に穴が開いてしまう。既に穴が開いてしまったと東京電力も政府も言っている。そして溶け落ちた炉心が格納容器という放射能を閉じ込める最後の防壁である容器の中に落ちたわけだが、そこの部分には1メートルの厚さのコンクリートがあって。でもコンクリートだって、 2,800度の瀬戸物が落ちてくれば、次々と破壊される。

 

東京電力は、「1メートルのうち70センチやられたが、まだ30センチ分が残っている」と言った。半年位前だったが、私はその報道を見た時に、「あなたたち、見てきたのですか」と聞きたくなった。原子力建屋の中にも入れない、格納容器の中にはもちろん入る事もできない。元々、こんな事故が起きると誰も予想しなかったので、測定機の配置すらない。曲がりなりにも平常運転状態を知るための測定器がいくつかあったが、それすらも放射線でやられて、データが来なくなっている状況だ。今、どうなっているか解らない。場合によっては、格納容器という放射能を閉じ込める最後の防壁の床が、既に抜けてしまっているかもしれないし、そうなると後は、もう地下水と溶けた炉心が接触してしまう事になるので、猛烈な汚染が出てくると思う。

 

■2011年の暮れ、野田元総理は「原発事故の収束宣言」を出した。「冗談を言わないでくれ」と思った。格納容器は大破損している。本当の事を言えば、手遅れ。自民党は、今止まっている原子炉を「再稼動させる」、「新たな原発を作る」、「原発をまた輸出する」。それが「アベノミクスの一つの主要な柱だ」とまで、言い出す。なんという国だ!

 

小出:

先ほどから、「放射能を閉じ込める最後の防壁として、格納容器がある」と言っているが、もうその容器は壊れている。炉心がこれ以上溶ける事を防ごうと、2年間水を入れ続けてきたが格納容器の中に水は全然貯まらない。格納容器は大破損している。本当の事を言えば、手遅れです。放射能を閉じ込める防壁が既に破られて、水をかければかけるだけ外に出てしまう。それを止めることできないのが今の状態。

 

小沢さんが民主党におられた頃、野田さん(元総理大臣:当時)が2011年の暮れに、「事故の収束宣言」を出した。「冗談を言わないでくれ」と私は思った。収束も何もしていない、どうなっているかも解らない、ただただ、水を入れるしかないという事態に今いるわけで、そのためにたくさんの下請け労働者が被曝をしながら、今この一瞬だって、事故と向き合っている。そういう状態だ。

 

なんという事か!

自民党は、今止まっている「原子炉を再稼動させる」、「新たな原発を作る」、「原発をまた輸出する」、それが「アベノミクスの一つの主要な柱だ」とまで言い出す。なんという国だ!と、私は思った。

 

小沢:

恐ろしい話だ。何千度にもなっている溶け落ちた燃料は、規模は小さくても3,000度か4,000度か、臨界に達しているという事で熱が出ているのか。

 

小出:

そうではない。原子力発電は、ウランを核分裂させて、その時に出る熱で発電するシステム。熱が出ているのは核分裂しているからと思われるが、実は熱が出る原因はもう一つある。それは、一度ウランを燃やすと、核分裂生成物という放射性物質ができる。それが炉心に次々と貯まってくる。放射性物質というのは、放射線を出す能力を持っている物質だが、放射線はエネルギーの固まりだから、放射性物質があれば、そこで発熱するという性質のもの。例えば100万kWが今日の原子力発電所の標準だが、100万kWというのは、電気になるのが100万kWであって、原子炉の中では300万kW分、発熱している。そのうち3分の1の100万kWだけが電気になる。残りの200万kWは海に捨てる。つまり海を温める装置が原子力発電所であって、私は誠に、ばかげた機械だと思っている。

 

300万kWの発熱うち、すべてがウランの核分裂から出ているのではなくて、7%分の21万kW分は放射能そのものが出す。21万kWを想像してもらいたいが、家庭に1 kWの大きめの電熱器があるとして、そういうものが21万個、止める事ができないで発熱を続けるものなのである。その熱を冷やす事ができなければ、簡単に炉心が溶けてしまう、という事で事故が起きたその日のうちに1号機では炉心が溶けてしまった。
 

その発熱自身は放射性物質そのものが出す熱で、ウランが核分裂してできる核分裂生成物の中には、寿命の長いものも短いものもある。寿命の短いものは一日経つと、ほぼ10分の1くらいに減ってくれるものもある。全体のうち9割が1日のうちになくなってくれる。短いものも多い。核分裂によってできた核分裂生成物のうち、約9割は一日経てばなくなってくれる。でもそれ以降は寿命の長いものが残っているので、なかなか減らず1年経つと、またその10分の1位に。21万kWのうちの100分の1位までに減ってくれる。2,100kwぐらいですかね。2年経っているから、その何分の1に減っている。それでも何千kWという発熱が、今どこかで続いている。それはウランが核分裂をして、臨界になってではなくて、放射性物質がそこにあるが故に発熱している。臨界でウランが核分裂してしまうかもしれないとご心配をされるが、心配がないわけではないが、多分、臨界はないと思う。

 

小沢:

絶対ないとは言えないが、可能性は少ないと。

 

小出:

ただ放射能がそこにある限り、発熱はどうにも避けられない。冷やし続ける必要がある。

 

 

■猛烈な汚染と放射能を封じ込める石棺は、数十年で老朽化し、将来の世代に半永久的な負担と禍根を残す

 

小沢:

何千度もの熱に耐え得るようなコンクリなのか、解りませんが、石棺を造る事は可能なのか?

 

小出:

チェルノブイリ事故の時も炉心が溶けた。溶けた炉心は地下に向かって流れていく。いろいろなもの、原子炉建屋の構造物を溶かしながら、元々100トンだったものが鉄、コンクリを溶かして200トン、300トンと、だんだん大きくなっていく。でも発熱量は決まっている。放射能が出す発熱だから、それは時間と共にだんだん減っていく。どこかでバランスというか、溶けずに固まるに至るわけだ。いつの時点かで。どの時点で固まるかは今でも解らないが、チェルノブイリの場合には溶けた炉心が地下に流れていって、ある場所で固まって、それを何年か後で遠隔操作のカメラで見たのだと思うが、「象の足」と言われる、溶岩が固まったような形で地下に残った。福島原発の場合も、溶けた炉心が周りのものを溶かして落ちて行って、どこかでバランスして固まるだろうと私は思う。もしそうなれば、何千度という温度ではなくて、空気の流れも起きるので、ある程度冷えるので石棺は造れるだろうと思う。

 

小沢:

しかしそういう状況になるのが、何年後かは解らないわけだな。

 

小出:

今の状況が解らないので。1年後にどうなる、2年後にどうなる、という事も解らない。事故の経過が解れば予測できますが、今の状況すら解らないので。今の段階では解らない。

 

小沢:

現状は、放っておく以外にないのか。

 

小出:

ひたすら水をかけるしかない。

後は、使用済み燃料プールの中の燃料を一刻でも早く危険の少ない所に移す、というのが緊急の課題。東京電力も認識しているので、一番手のつけやすい、そして使用済み燃料プールが一番、今、壊れてしまう危機にある4号機からやろうとして、作業を急いでいるはずだ。

 

小沢:

正しくきちんと全部、取り出せるかどうか、難しいという事か?

 

小出:

とても難しい。

 

小沢:

もしそれが、掴み出す時に割れたりなどしたら、どうなるのか?

 

小出:

また放射能が吹き出してきて、使用済み燃料プールも汚れてしまう。

 

小沢:

核分裂するわけではないのか?

 

小出:

はい。作業で、使用済み燃料をキャスクと呼ばれる鉛と鋼鉄でできた巨大な容器の中に1本づつ入れて、10本あるいは20本入れられると思うが、その段階で蓋をして、プールの上に吊り出すという事をやらなければいけないが、何せ1,331体あるから、キャスクの中に吊っては降ろし、吊っては降ろし、最後にキャスクを水面から吊り上げる。途中、一体でも落ちたり割れたりすると、プールが全部汚れるので、次の作業が当面できなくなる。割れた時に臨界になるかというと、多分、ならないだろうと思う。でも放射能で汚れてしまって作業ができなくなるので、4号機だけでも何年その作業にかかるのか心配している。

 

小沢:

仮に取り出したとしても、それをどこに置くかという問題がある。

 

小出:

4号機の隣に共用燃料プールがあるが、そこに、とにかく移そうという東京電力の計画になっている。でも、4号機が終わっても1号機、2号機、3号機もまたやらなければいけない。そうなると共用燃料プールでは足りなくなるので、今でも共用燃料プールはほとんどいっぱいだから、共用燃料プールに入っている燃料を、まずは別の所に移すという計画になっている。それはまた、大変な作業。

 

小沢:

コストもかかるし、あらゆる意味で大変な作業だろうが、だけど、やらないで、ただ水をかけるだけでいいものなのか。

 

小出:

順番としては、使用済み燃料プールにあるものを、とにかく早く移さなければいけません。

 

小沢:

取り出せずに放っていたら、どうなるのか。

 

 

■本来なら事故から無縁だったはずが、何故か4号機でも爆発が起きて、建屋の最上階が吹き飛んでしまった。いろんな説があって、水蒸気爆発だという方もいるが、私は水素爆発だと思っている

 

小出:

例えば、4号機という原子炉は、あの日は定期検査中だった。原子炉は止まっていたし、炉心にあった燃料も全て使用済み燃料プールに入っていた。炉心には燃料が入っていなかったし、溶け落ちる事はなかった。本来なら事故から無縁だったはずが、何故か4号機でも爆発が起きて、建屋の最上階が吹き飛んでしまった。いろんな説があって、水蒸気爆発だという方もいるが、私は水素爆発だと思っている。4号機の場合は少し変わった爆発の仕方をして、水素爆発だと水素は軽いので、建屋の最上階に集まって爆発を起こすはずで、確かに最上階は全部吹き飛んでいるが、4号機の場合は最上階の下の階、さらに下の階までが爆発で壁が吹き飛んでいる。最上階の下の階、さらに下の階というのは、使用済み燃料プールが埋め込まれているフロアー。そこが、壁が吹き飛んで、使用済み燃料プールが宙吊りのような形で、今そこにある。それが定期検査中で、原子炉の炉心の中にあるものは全部出して移されていた。

 

私は使用済み燃料が1,331体あると言ったが、その中には、広島型原爆がまき散らした核分裂生成物の中でも一番危険だと思われるセシウム137、それを尺度に換算すると、広島型原爆のまき散らしたセシウム137の1万発を超えるものがある。それが宙吊りになってプールの中に、何とかある。

 

 

■福島原発の周辺では、毎日のように余震が起きている。もし大きな余震が起きて、プールがひっくり返るような事になると、もう多分、手のつけようが、なくなる

 

小出:

福島原発の周辺では、毎日のように余震が起きている。もし大きな余震が起きて、プールがひっくり返るような事になると、もう多分、手のつけようがなくなると思う。これまで1号機、2号機、3号機が溶け落ちて、放射性物質が噴き出してきたが、民主党政権時代にIAEAに出した報告書の中には、大気中に噴き出してきたセシウム137の量は広島型原爆の168発分だと書かれている。168発分が出て、東北・関東にあれだけの汚染が生じている。でも4号機の中には1万発あるわけで、もし崩れ落ちるような事になれば、本当に手がつけられなくなる。まずは崩れ落ちる前に掴み出す。少しでも危険が少ない所に移すという事を、どうしてもやらなければいけない。

小沢:

1号機、2号機、3号機にもあります。

 

小出:

あります。1号機、2号機、3号機は大変だ。放射能まみれになって。4号機は比較的原子炉建屋の中も汚染が少ないので、作業員の方がプールの上まで行って中を覗き込んだりもできたし、これからの作業もできるかと。1号機や3号機は最上階まで行く事すらできない。プールを覗く事もできない。遠隔操作のカメラなどで、どんなになっているかと(伺うだけの状況だ)。

 

小沢:

原子炉だけじゃなくて、プールもある。

 

小出:

あります。少しでも安全な場所に掴み出さなければいけない。それは確実に解っているが、行く事ができない。どうしていいか解からない。瓦礫を少しでも掴み出そうと作業しているわけだが、現場に行く事ができないので遠隔操作で重機を動かしている。細かい作業ができないし、何か月か前には3号機の使用済み燃料プールの中から鉄骨を吊り上げようとしたら、途中で落としてしまう(事故も)起きた。これからも、そういった事を何度もやりながら作業しなければいけない。

 

小沢:

燃料棒が破損したら、作業がますますできなくなっていく。そうすると先生のおっしゃる、可能性としては簡単には核分裂が起きないであろうと。石棺の話になるが、それを巨大で強大なもので、とにかく囲う。ばかでかいもので。

 

小出:

確実に、そうなると思う。それしかない。ただ巨大な構造物を造る前に、使用済み燃料プールの底にある、今、壊れずにあるものは、とにかく掴み出して移動させる。

 

 

■巨大な石棺を造るしかない。その前に、地震でも起きたら破滅的だ

 

小沢:

破損させないように、より多少でも安全な所に、という事。それをやった上で、巨大な石棺を造るしかないという事ですね。

 

小出:

そうなると確信している。まずは、使用済み燃料プールの底にある燃料を掴み出すのに、多分、10年では効かないと思う。

 

小沢:

石棺を造る作業は、それが終わってからでないとできないという事か。その前に、地震でも起きたら破滅的だ。

 

小出:

4号機は本当に心配だ。東京電力も4号機の使用済み燃料プールが宙吊りになっている事に、事故直後に気づき、あの放射能汚染の高い時に、あえて使用済み燃料プールの補強工事を行っている。使用済み燃料プールが埋め込まれている下の階に行くと、使用済み燃料プールの底が天井のように見える。

 

小沢:プールが浮いているように見えるわけ?

 

 

■補強工事は、上に見える使用済み燃料プールの約半分しかできていない。東京電力は「震度6の地震が来ても、もう大丈夫だ」と言っているが、私は、もう信用できない

 

小出:

そうです。それが崩れ落ちないように、東京電力は下の階から鉄柱を立ててコンクリートで固める、という事をやったと言うが、実は下の階も爆発で壁が吹き飛んで、床すら損傷しているわけだから、上の階に鉄柱を渡しても、下の階は持たないわけ。結局できたのは、格納容器という放射能を閉じ込める最後の防壁があるが、厚さ3センチの鋼鉄だ。鋼鉄の周りに分厚いコンクリートの外張りがあって、その外張りがフラスコのような形をしているが、この出っ張りの所が分厚いコンクリートで、そこに鉄柱を立てる事ができたと言っている。補強工事は上に見える使用済み燃料プールの約半分しかできていない。東京電力は「震度6の地震が来ても、もう大丈夫だ」と言っているが、私はもう、信用できない。

 

耐震計算したと言うが、計算をするためには前提条件をおかなければいけない。床も壁も健全だという計算ができるのかというと、できない状態で計算している。どこまで正しい計算なのか不安だ。ひょっとすると、震度6という地震が来れば、使用済み燃料プールが崩れ落ちるかもしれないと心配しているかも。今は大きな余震が来ないでくれと願っているわけだ。手をこまねいている事はできないから、一刻も早くやるしかない。

 

小沢:

今は、手を付けていないのか?

 

小出:

東京電力はやっている。使用済み燃料プールの中から燃料を外に出すためには、キャスクという巨大な容器を使わなければいけない。キャスクという容器は重さ110トンもある。100トンもの容器を出したり吊り上げたりするためには、巨大なクレーンがいるわけで、もともと原子炉建屋の中に巨大なクレーンはあったが、爆発で吹き飛んでしまった。

 

どうするかというと、壊れてしまった原子炉建屋を追っ払わないといけない。その建屋の上に、さらに巨大な建屋を造って、それに巨大なクレーンを設置して、初めて作業ができる。巨大な建屋を今、造っている。建屋を造って、巨大なクレーンを設置して作業が開始できるようになるまでに、今年の暮れまでかかるというのが東京電力の説明だ。そうだろうと思う。一日24時間しかないわけだし、作業員だって、無限に集められるわけではない。

 

小沢:

物理的に、スピードアップは不可能なのか。

 

小出:わかりません。

東京電力は当初12月と言っていたが、早めて11月と今、言っているかもしれない。ひと月早める事はできるかもしれないし、早めてほしいと願っているが、それにしても大変な工事だ。高さ何十メートルあるような巨大な建屋を新たに建て、そこに100トンもの重量のものを吊り上げたりする事のできるクレーンを設置しなければならない。その工事を全て、猛烈な被曝環境の中でやらなければいけない。労働者は、それこそストップウォッチで被曝の線量計を計りながら何分間働けるかという、そういう所で作業している。急いでほしいと願うし、急ぐべきだと思うが、急いだからすぐできるというものではない。

 

小沢:

そんな事をしている間に、もし燃料プールが破損すると、本当に、今以上に手のつけられないような状態になってしまうという事か。

 

小出:

今までは、(広島型原爆)168発分が大気中に出てきたと言っているが、4号機の使用済み燃料プールだけでも、(広島型原爆)1万発を下回らないものがある。

 

小沢:

セシウム137は、核分裂しなくても出るのか?

 

小出:

すでに、福島第一原子力発電所は運転して、ウランを燃やして核分裂をさせてしまった。何十年間も。そのために、既に膨大なものができて、燃料棒の中にあるわけだ。

 

小沢:

新たな核分裂をしなくても、核物質そのものが、中に(広島型原爆)1万発分もあるのですね。

 

小出:

はい。セシウム137は、半分に減るまでに30年かかる、寿命の長い放射性物質だから、要するに、なくならない。

 

小沢:

冷却水というのは、石棺が仮にできたとしても、入れ(続け)なくてはならないのか?

 

小出:

本当に石棺ができるのであれば、もう外部から手を加えない事になる。水も何も、流さない。そのまま完璧に封じ込めて、あと発熱はあるが、それは空冷というか、建屋そのものの表面から捨てるのが得策だと思う。そうなると思う。外から冷却水を回して循環させるのは、まず多分できない。する必要がないようにした方が、得策だと思う。ものすごく大きな、原子炉建屋より表面積の大きな、封じ込める建屋を造って。いずれにしても巨大なものを造ることになり、表面積が大きくなるので、多分原子炉からの発熱はだんだん減っていく。その熱は、建屋の表面から外に放出できると私は思う。完璧に閉じ込めるのがいいと思う。

 

小沢:

下まで、やりたいですよね。

 

小出:

本当は、下もやりたいが、下をやろうとすると猛烈に大変だ。汚染水が、全部下に溢れているわけだし、そういう所で、どうやって工事ができるかと考えると…。

 

小沢:

土木技術的には、できると聞いた事があるが。

 

小出:

小沢さんの方が詳しいかもしれない。ただし、猛烈な被曝を伴ってしまう事になるので、実際できるかは疑問だ。

 

小沢:

作業する人たちの問題ですか。

 

小出:

チェルノブイリの時には、1個の原子炉が壊れたわけだが、それを収束させるために60万人とも80万人ともいわれる軍人や退役軍人、労働者を集めて作業に当たった。日本で、そんな大量の労働者を集められるのか、それ自身、私は不安だ。この間、チェルノブイリの頃の新聞記事の整理をしていたら、本当かどうか解らないが、軍でチェルノブイリに行かされそうになった兵士が拒否したら銃殺されたと、そういう記事が出ていた。ソ連という国ではそんな事があったのかもしれないが、日本という国で、この事故を収束するための作業あてできるのだろうか、と思うと大変不安だ。海外からの労働者を、被曝労働に引っ張ってくる事も起こるのかなと。

 

小沢:

事実上できませんよね。国際的には。日本人がやる以外にない。

 

小出:

私はそうすべきだと思うが、これまでの日本の政治の動きを見ていると、何をやるか、私は不安だ。

 

小沢:

放射線の防護というのは、凄く厚いものであっても不可能なのか。日本の防護服はどうだ、という議論もあった。

 

小出:

防護服というのは、ごく簡単に言ってしまうと、放射性物質を体に付着させたり吸い込んだりしないためのもの。要するに、内部被曝を防ごうとするもの。それ以外の外部被曝、ガンマ線という放射線ですが、周りが全部汚れていると、ガンマ線が飛んできて被曝してしまう。その被曝を防ごうとすると、鉛のスーツがあるが、ほとんど効果がない。人間が着る事ができる鉛なんて重くて。せいぜい何mmのものしか着られない。着たとしても、ガンマ線に関してはほとんど防ぐことができない。ですからガンマ線を防げるような防護服というものは、考えない方がむしろ良い。それならば、時間を現場で短縮する。その方がはるかに効果はあると思う。

 

防護服は、内部被曝を避けるためにあるし、それをもっと完璧に、少しでも内部被曝を避ける防護服を作る事は必要だが、外部被曝に関する、つまりガンマ線の被曝を減らすという意味では、ほとんど何の手段もない。

 

小沢:

土木技術なり何なりで、巨大な石棺が仮に地中まで可能だとしても、被曝の危険をどうやって作業員が避けるかという問題は、非常に難しい。

 

小出:

今でも下請け、孫請け労働者が働いている。1次、2次ではなく9次、10次という下請け構造になっている。東京電力が払ったうち、ほとんどピンハネされて下請け労働者に行かない実態がある。下請け労働者として雇われている人は、大変失礼な言い方になるが、生活のために現場に来ている。放射線被曝作業に従事すると、今の法体系だと100ミリシーベルトを超えると5年間働けなくなる。生活のために来た労働者が、一日で、そんなことはなく10日だとしても、その労働者は仕事ができなくなる。結局、簡単にクビにされる。そうすると生活自身できなくなるので、労働者自身が被曝量を値切る、というか正確に申告しないという、そういう状況が既に生じてしまっている。

 

小沢:

自分で、隠すのですか?

 

小出:

下請け業者が隠せと、例えば、線量計に鉛のカバーを付けさせたという事も既に解っている。会社の方がピンハネして儲けるために、そうやって労働者に向かって指示を出した。クビになるし、会社としても仕事を受注できなくなるので労働者に「被曝を隠せ」と指示した。それより深刻なのは、労働者の方が、自分で隠さないと生活ができなくなるという構造の下で働いている人たちがいる事実。大変な被曝作業で、どんどん被曝量が増えて、膨らんでくる。毎日毎日、作業員が足りなくなる。被曝量隠しも、これからどんどんひどくなるだろう。小沢さんを含め、政治の現場の方が把握できるように、そして、そういう作業の労働者の生活をどうやって守るかという事も考えていただきたいと思う。

 

小沢:

仕事ができなくなる年限を、保証してあげないと。

 

小出:

元々、5年間100ミリシーベルトだが、10日で終わったら、あと4年と355日は仕事ができなくなってしまう。

 

小沢:

方法としては最終的に、巨大な石棺でもって、あそこを放射能を封鎖する以外にないと。前提として使用済み燃料を、より安全な所に移し換える作業が必要だという事ですね。

 

小出:

小沢さんが言ってくださったように、石棺は造らないといけない。

その前に、使用済み燃料プールに沈んでいるものを掴み出さなければいけない、という順番。取り出すまでに多分、10年かかる。溶け落ちた炉心をどうするかという検討が始まって、東京電力や国のように掴み出すという事は、私はできないと思う。全部石棺で固めると思っているが、石棺が完成するまで多分、私は生きていない。小沢さんも生きていないかもしれない。それでもやらなければいけない。

 

小沢:

漠然と、危険だと思っていたのが、今日、先生のお話をお聞きして、はっきりわかりました。

 

小出:

ありがとうございます。思っている政治の現場の方に、ちゃんと解ってほしいと願っているが、安倍さんなど解っていないようで、困ったものだと思う。

 

小沢:

本当に困りましたね。ドイツの話ですが、「あれだけの事故を起こした日本人が、何を考えているんだ」と言われる。よく平気でいられるなっていう感じだ。

 

小出:

当の事故を起こした国ですから。「収束した」、「これから原子力だ」、「そうしないと経済が持たない」という事を、平然と言う人たちが、国の中枢にいるわけだから。恐ろしいと思う。

 

小沢:

本当に、ありがとうございました。僕は今、しがない野党の立場ですが、何とかして本当に日本の将来、人類の将来、大きく言えばそういう問題なので、何とかして先生のお話を参考にしながら、そういう方向で実現できるように、死ぬまでがんばっていきたいと思う。また今後とも、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

 

小出:

ありがとうございました。

(了)敬称略。

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