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宇都宮健児氏・山崎ジャーナル独占ロングインタビュー動画(2013/04/01収録)

http://www.youtube.com/watch?v=Ah_mjJgSVFg

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‪YamasakiJournal

公開日: 2013/04/02

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(要旨の書き起こし)。

インタビュアー:山崎淑子、山崎淑子の「生き抜く」ジャーナル!主宰者。

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TPPが司法に与える影響〜双方弁護:

米国流“強奪司法”が日本の津々浦々を襲い、素朴でうぶな日本人は食い尽くされてしまうだろう(山崎淑子)

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●山崎:
住友商事の銅の不正取引事件(複数の米大手金融会社を提訴した民事損害賠償訴訟事件)で、私がアメリカ(ニューヨークの大手法律事務所)で訴訟通訳を担当した際)、訴訟を和解・示談に持ち込み、適当なところで寸止め折り合いをつけるべく、双方をクライアントに持つ同じ巨大法律事務所が、訴訟担当しているのを目撃体験してきました。

こういった、法外な訴訟費用を強いられる強欲な『米国流“司法ビジネス”』が入ってくるのがTPPで、以前は関税障壁〜農業や医療、保険分野が主に取り上げられていましたが、最近になってやっと、日本の大手メディアもTPP非関税障壁分野の危険性リスクを、取り上げるようになりました。

最近の日本経済新聞の記事でも、「【TPP=司法サービスの各国非関税障壁、各国独自の法律の緩和】TPP、高水準の自由化とは 核心は規制緩和。いずれも外国企業や外国人の活動を制限する国内規制の緩和要求」とあるように、非関税障壁のなかでも、とりわけ司法サービスの日本席巻に警戒する論評も、やっと見受けられるように。ここでは、「高水準自由化とは何か、核心は法律の規制緩和でもある」と掲載し、TPPというのは司法サービスなどの各国の非関税障壁または各国独自の法律を緩和させて、アメリカ式の司法スタンダードをねじ込んでくる。

 

TPPの背後に隠された米国の本音として、有り余った弁護士と法律事務所を海外進出させて、米国内では飽和状態の司法ビジネスを潤すためにTPPをテコに使い、外国企業や外国人の活動を制限する各国の国内規制緩和を求めるのがTPPの正体である、という私の警告が、今になってやっと表に出てくるようになりました。

2010年10月に菅直人氏が「TPPは第三の開国だ」と宣言した時点で私は、「これは不平等条約であって、(かつてペリー来航で通商・不平等条約が締結され治外法権だったものを、その後の交渉により)せっかく正常化したのに、これは時代の逆行である」と警告してきました。
TPPによる米国スタンダードの司法サービスが日本進出する脅威に関して、2010年と11年に日弁連の会長さんでいらした立場から、ご意見を伺いたいと思います。
●宇都宮氏:
TPPの問題は、日弁連会長の時は、司法分野にどういった要求が来ているか、明確な情報がなかった。ただ、今のようなことが表面化してくるのであれば、日弁連としてもTPPに反対する見解を出すことになるだろうと思います。

1つの法律事務所の中で、原告と被告、利害が相反する当事者の双方の代理となるのは、日本の弁護士法で最もやってはいけないことなんですね。それは弁護士に対する依頼者の信頼を失わせることになる。個人としても許されないし、 1つの法律事務所の中で、情報が流れる可能性もあります。弁護士事務所そのものに対する信頼も、所属する弁護士に対する信頼も失われます。

日本の弁護士法、職務基本規定では、同一の弁護士事務所の者が、利害が反する当事者の代理人になってはいけない、という規則になっています。それをTPPで崩すと、日本の弁護士制度そのものに重大な変質を及ぼすことになります。そういう改正は、日本の弁護士としては受け入れることができない。

 

 

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[利益相反]

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●山崎:
TPPの21項目の要求のうち、1つはサービス業の解放なわけですが、弁護士の司法サービスが、今までは海外の弁護士は日本人の事務所に所属して活動することになっていましたが、今回の要求では日本の法曹資格も得ず、日本の事務所の内勤もせず、直接アメリカの弁護士事務所が、地方自治体や全国どこにでも直接事務所を開ける、という営業活動までもが最初から明記されていました。しかし、あえて外務省、経産省などの担当部署は隠していました。締結国や参加国から英語でコピーをもらわないと読めなかった。私はオーストラリアやニュージーランドの学者から入手したものを自分で翻訳しました。
2011年の頭に、山田正彦さんや篠原孝さんと話しましたが、当時はまだまだ、手がつけられない状況でした。
「利益相反」は、アメリカの弁護士法でも実は違反なのですが、 911の時にニューヨーク地裁で、訴えられた航空会社の代理の弁護士と、被害者のご遺族の代理人が一緒だったんですね。これは明らかに利益相反であるにも関わらず、同じヘラースタインという有名な弁護士が、無理矢理示談に持っていった。内部情報が漏れていて、対立関係を作ることができない中で、判事が承知で落とし所として民事損害賠償を無理やり和解に持っていった。これはニューヨークでも大変な問題になりました。
●宇都宮氏:
日本では懲戒処分となりますね。

 

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[高額の供託金は『違憲』]

 

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●山崎:
懲戒という言葉が出ました。当サイトの視聴者には女性や主婦の方、ブロガーや海外在住の方も多く、日弁連の仕組みや懲戒請求、その手前にある紛議調停という制度を皆さんご存じないかもしれません。

 

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(※紛議調停 http://www.nichibenren.or.jp/contact/claim.html#trouble)

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先生は昨年、知事選で善戦され、ジャーナリストや市民が強く応援しておりました。一定の知識層や先生の本当の活動を知る人にとっては、先生が都知事になれば、市民にとって、福祉にとって、どの部分でどう良くなるか、という具体的なビジョンを描くことができました。しかしその時気づきましたのが、一般の情報番組に乗って、一般受けして有名な人の方が票を集めるのに有利であったということ。
先生は27冊のご著書と10冊のご監修をされ、テレビ番組「NHK・プロフェッショナル 仕事の流儀〜人生も仕事もやり直せる」の放送で、多くの方が先生の無私のご活躍をよく知っています。しかし残念ながら、日弁連の会長さんなのに、猪瀬さんほどの知名度がなかったのは非常に残念で、これからも政界に引き続き関与して、政治活動を継続していただきたいという声が非常に多いのです。今までの弁護士としての素晴らしい活動のほかに、今後の抱負と言いますか、都知事選に出られた経験をきっかけに、先生の中で何が変わられたのか。例えば今回、日本中で「一票の格差」に関して地裁・高裁で、無効・違憲判決が出ましたが、実際の問題は、一票の格差よりもむしろ一般市民にとっては「立候補する時の供託金」です。選挙区は300万円、比例区600万円。これは、一般市民が正義感に駆られて出馬できる金額ではない障壁となっております。結局は世襲や大きな労働組合、会社をバックに持っている人でなければ立てないということが、法の下の平等に反する違憲状態であると考えますが、どのように改善すれば良いと考えますか。
●宇都宮氏:
公職選挙法によって、日本は「世界一高い供託金制度(被選挙権の障害)」が決められています。日本に民主主義制度を定着さるために、市民がもっと関心をもってほしい。一定の供託金を積まなければ立候補できないという制度は、基本的に憲法違反になると思います。改善するのは極めて重要です。
調べたところ、ドイツ・フランス・アメリカ・イタリアは供託金がなくても立候補できます。フランスの場合は1995年まで必要だった2万円の供託金が問題になって改善されました。
日本では1925年に普通選挙法が導入され、一定の税金を納めた成年男子にしかなかった選挙権が、すべての青年男子に与えられるようになりました。その時に高い供託金が導入されました。女性の参政権は戦後ですが。
無産政党〜労働者や農民などが作る政党が政界に入ることに歯止めをかけるため、供託金制度が作られた。これが戦後も維持され、公職選挙が変わる度に吊り上げられた。選挙区では300万円、比例区で600万円。市民グループが政党を作って10人立てれば6000万円必要となる。資金的に余裕のない市民団体には困難になる。今の日本の「お任せ民主主義」は良くない。政治をウォッチし、関心を持っていこうという議論が一部の有識者や学者の中で言われるなりました。「お任せ民主主義」の対極にあるのが市民自身が政治に参加する、というところだと思いますが、そこに財産・収入などによって高い障壁が作られているというのは問題だと思います。アメリカやヨーロッパでは憲法違反ということで、今回の一票の格差と同じような問題提起がされ、世界的にも改善されてきています。今ようやく、一票の格差そのものが問題となってきましたが、成年後見、被後見人が選挙権を行使できないのは違憲だという判決が出て、こういう選挙権を巡る議論が行われています。被選挙権に高い障害があるというのは問題があると思います。
今度の参議院選挙で、問題意識を持って、積極的に憲法訴訟を行うということであれば、弁護団を作って代理人として、私たちは 1票の格差と同じような問題提起をしていく必要がある。と同時に、社会的に問題提起をする機会を多くしなければならないと思います。
公職選挙法の問題としては、都知事選の場合、候補者の名前と写真入りのチラシを、有権者が1000万人以上いるのに対し、30万枚しか配布できない。
諸外国でほとんど認められている戸別訪問も禁止されています。私の支援者の一人が、マンションの郵便受けにポスティングしようとしたら住居侵入罪で通報されました。通報した住人の腕を振り払ったということで、住居侵入傷害罪で逮捕、書類送検されました。書類送検された方はお年寄りで、捕まえた住人の方は40歳代の頑強な方だったそうです。
諸外国で許されていることは取り入れ、選挙制度を民主化しないと、一般市民は政治に参加しにくい。特に財政的に豊かでない政党は進出できない。民主主義の定着のために改善することが重要だと思います。
●山崎:
他国と比較した場合、政治家の人数が多すぎるわけではなく、実は経費がかかりすぎ、世界一の歳費なので、国会議員になる事自体が特権階級化してしまう。人数を増やして、一人ひとりの歳費を半分か4分の1位にしても諸外国並みになるという事ですね。
●宇都宮氏:
ジバン(地盤)、カンバン(看板) 、カバン(鞄)と言いますが、世襲制で、普段政治を考えていない人が出てくるというのは、非常に制約の多い選挙制度だと思います。
●山崎:
今後は、裁判を起こしたり、立候補したり、自らがアクションを起こさなければ変わらない。
●宇都宮氏:
(選挙法)改正の度に、供託金はどんどん釣り上げられています。諸外国では改正の度に下がって、4つの国ではゼロになっています。ヨーロッパ諸国では10万円以下だと思います。日本のように高いところはありません。

 

 

 

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[外交問題]

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●山崎:
私自身が編集のお手伝いをさせていただいた「日米地位協定入門」と、姉妹本の「戦後史の正体1945~2012」に先生から素晴らしいコメントをいただきました。

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〈twitter ‏@utsunomiyakenji 3月26日〉より
創元社から出版された前泊博盛さん(編著)の『本当は憲法より大切な「日米地位協定入門」』を読みました。この本を読んで、日本がいまだに国民の意見を基に国家政策を決定できる真の主権国家、独立国家、民主主義国家になり得ていないことがよくわかりました。同じ創元社から出版された孫崎享さんの『戦後史の正体1945~2012』と合わせて読むと、さらに理解が深まると思います。2冊ともすばらしい本です。(引用おわり)

 

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●山崎:
先生はここで、日本は真の主権国家でも独立国家でも民主主義国家でもない、と仰っています。対米関係1つ取ってもそうではなくて、属国、植民地と言う学者の方もいますが、そういう現実は、実は司法で縛られているということですよね。
外国の司法の歴史では、政治家というのは国会議員や政治家、代議士である前に、まずは司法試験を受けた弁護士であって、立法したり、憲法を作ったりすることで国のあり方を変えよう、という集まりなので、法律家、憲法学者と言う意識の強い方が政治家や議員になると思います。しかし日本の場合、安保条約、日米地位協定、新安保条約、沖縄密約、日米合同委員会に至るまで、戦後日本の行政府や政治家は、とても適わない規制や縛り、密約や法律で、がんじがらめにされてきた。逃げられないほど、アメリカの法律の下にある。憲法98条の2項が拡大解釈されて、砂川裁判の伊達判決が50年代に出ているのにも関わらず、最高裁の田中耕太郎長官が、マッカーサー大使と密談してアメリカの意に沿うように、「年明けにもアメリカに有利な判決を出します」と判決前に言っていたが前倒しになって、12月に判決が出てしまった。この時点で、新安保は岸信介と締結する以前から、最高裁はアメリカのものだったということ。日本の東京地検特捜部が作られたのは、戦前日本軍が隠していた財宝を探させて収奪するために、戦後アメリカの手先として作られたという歴史から考えると、東京地検特捜部が日本人のため、市民のため、企業悪と戦うためにあるのではなく、アメリカの手先、あるいは旧宗主国・または現在の宗主国の方を向いている。この点いかがですか。

●宇都宮氏:
(「日米地位協定入門」による伊達判決に関する記載が事実であれば)大変なことです。司法の独立など全くなく、判決が出る前に一方の当事者に最高裁長官が説明する、ということが行われている。これはあってはならない。この事実が、国民に知らされていなかった。もっとメディアが報道しなければならない。でなければ、司法の独立は確立できない。憲法上は三権分立で独立していることになってはいますが。
検察もそうですが、アメリカから本当の意味で独立できていないということです。沖縄が占領されていた時から米兵による犯罪は続いていますが「日米地位協定入門」によると、日本国内各地で発生しています。通常、主権を持っている国は、外国人であっても同じように起訴、処罰するのが当たり前ですが、日本人が犯罪をすれば処罰されるのに、米軍は特別扱いされて処罰されないか、あるいは軽い刑になる。こういうことを見れば、対等な国家同士の条約や協定になっていないですね。
米兵による沖縄での犯罪に対して沖縄県が、日本政府や米軍に抗議したところ、一定の時間の夜間外出禁止令が出ました。運用されたことは何度かありますが、まったく改まりません。日本の同じような司法で米兵も裁く、悪いことすれば厳罰に処すということをしない限り、犯罪の撲滅はできないですね。そう考えれば地位協定の改正こそ重要だと考えますが、マスコミで全く報道されない。仲井眞知事が地位協定の改正を求めて、単独でアメリカに行ったことがありますね。これは、知事ではなく日本政府が申し入れすべき事です。それがほとんどなされてこなかった。1960年から半世紀以上も地位協定は改正されない。ドイツや韓国では、地位協定を改正する中で主権を回復してきましたが、日本政府は全くやっていない。そういうことに対する問題を、これらの本には明確に書かれていますが、何故か日本のメディアが問題にしない。自民党の保守的な多くの政治家は、領土問題では韓国や中国に対して国益を主張しますが、本当に国益を守りたいのであれば、アメリカに対して物が言える政治家でなくてはならない。それがネグレクトされてきた。 一部のあまりにも極端な右翼的な市民運動家が在日外国人に対して「殺せ」とか言っていますが、そういう人たちは反米を言わないですね。アメリカに対して従属的な立場であることに問題意識がないか、あるいは一方的な見方しかしていない。日本の独立・主権の確立のためには、対中国や韓国だけでは視野が狭いと思います。日本の政治家も同じ考え方に陥っているので、重要で深刻な問題だと思います。

●山崎:
右翼と言っても色々いらっしゃるようですが、戦後、占領軍がキャノン機関を作って、後にCIAを通して大きな工作費を使って、反米ではなく反日、むしろ日本政府やリベラル派を潰すために作られた歴史的背景を考えれば、反米を避けて日本や韓国、中国といったアジアの国々と日本を分断統治するというアメリカの戦略の中で培われていたと言う面もあるかもしれませんね。

●宇都宮氏:
お付き合いのある鈴木邦男氏の一水会は、韓国・中国など、一部の国に対する剥き出しの差別をする人たちとは一線を画しています。一水会は反米もきっちり主張しているので、右翼全体がそうではないと思いますけどね。

●山崎:
話を戻すます。1953年、密約を通して日本の法務省と米軍が、米兵や米軍属の軽犯罪や重犯罪、レイプ、殺人事件に対して日本は裁判権を放棄すると謳いました。ですからヘリコプターが沖縄大学の敷地に落ちた時も、規制線が張られ、日本の警察・消防は中に入ることができなかった。ということは、日本は本土も沖縄もまだ、アメリカが治外法権なんだ、警察権が入れない、という現実が突きつけられた。これは、日米地位協定に書かれているから。
5歳の少女がレイプされ、ゴミ袋に入れて捨てられた「ゆみこちゃん事件」の犯人は、米軍基地に逃げ込んだ事によって、日本は逮捕することも起訴することもできず、アメリカ本国に送り返されてしまって、軍法会議にかけられることもなく本国で普通に暮らしている。この現実が明らかになっても、半世紀何も変わっていない。

●宇都宮氏:
諸外国では、主権回復のために地位協定の改正が行えている。上記の本で知ったのですが、米軍という形であれば入国のチェックはほとんどなされず、何人日本にいるのかチェックできていないということです。また航空法が適用除外になっているので、超低空飛行や一定の空域、日本の本土、沖縄の空域を米軍が優先的に使用している。日本の民間航空機はそれを避けて飛ばなければならない。環境保護の規定もなく、毒物など環境汚染物質が残置されていることに対しても何も言えないとか。沖縄に基地が集中しているので、沖縄の被害が一番大きいとは思います。本土にも基地はありますし、本土でもオスプレイの訓練が行われている。主権の行使がほとんどできていない。

 

 

 

●山崎:
東富士演習場というのは、住民は自衛隊の演習だと聞かされていますが、以前から米軍が自衛隊との共同使用という形をとりながら、実際は米軍の実戦訓練場となっています。世界自然遺産に登録しようとしていますが、外国の基地が実弾演習している所が果たして自然遺産になれるのか、という声が上がっています。

●宇都宮氏:
イラクから米軍は撤退していますが、イラクが頑張って主権を行使している事や、フィリピンが米軍基地を撤退させ、国家の安全も守り、跡地を使って経済的に発展を遂げていることなども、上記の本で知りました。日本人はもっと知るべきだと思います。日米安保を改訂したり、米軍が撤退した場合に日本はたちまち他国に占領され、米国との関係が悪化して社会がもたなくなる、という誤解を与えるような報道が多いですね。フィリピンは日本より経済力は小さい国ですが、自国の主権を通すという面で圧倒的に日本より優れている。しかも当時の交渉相手がアーミテージさんだったと。アーミテージさんの影響力は大きく、日本の保守政治家は、彼の言う事を鵜呑みにしている。フィリピンの、当時交渉した人は偉いですね。

●山崎:
「日米地位協定入門」の執筆者は何名かいます。その中の一人、フィリピンの交渉に関して書いた石山永一郎さんが、つい先日アーミテージさんにインタビューをしてきました。「フィリピンでの交渉は厳しかったでしょう」と聞いたら、「交渉のし甲斐があって面白かった」と。自分が負けた交渉でも「フィリピンは本気でやってきて、一番厳しい交渉をした彼を尊敬している。交渉をしてきたこと自体を楽しんだ、誇りに思う」と言っている。
だから日本だって、交渉していい。安保村の人が、安保で利権を得ているから「アメリカに出て行かないで」とすがり付くのではなく、アメリカの部分撤退や第七艦隊だけ残して海兵隊の撤退することを提案したら、喜んで交渉するという態度なのに、交渉する政治家がいない。
数日前の報道で、アメリカ上院の軍事委員長が、「現在の厳しい国内予算を考えると、全世界の米軍を減らすべきだ。特に太平洋、沖縄から撤退して軍事費拡大を抑制すべきだ」と言っています。日本に交渉するだけの胆力とガッツのある政治家がいれば、アメリカは交渉のテーブルに乗る準備はできていると思います。なぜ日本は忖度して交渉してみようともしないのでしょうか。なぜ鳩山元総理のように、交渉しようとする人を外務・法務官僚たちは足を引っ張るのでしょうか。
●宇都宮氏:
その辺はよくわからないですが、ただ孫崎享さんの「戦後史の正体1945~2012」によれば、終戦直後は外務省や防衛省にそういう官僚はいたけど、60年安保以来いなくなったと。官僚機構の採用される人の質の問題も当時と今では違ってきてるのかと思います。そういうことをやるには、世論や国民の後押しがなければならないですが、大手メディアが真っ向から切り込んでいない。後押しするような運動も弱くなっている。その辺が問題なのかと思います。鳩山さんが問題提起した時に、民主党が一体として応援するような体制があったか。労働組合の最大勢力である連合に度胸があったのか、判断ができていたのかと。政治家を支持する国民の世論、応援が重要だと思います。
フィリピンの場合などは、マルコス政権を打倒した民衆の中に、そういう交渉を後押しする大きな応援部隊があったのだと思いますね。
鳩山さんの場合は、官僚機構の中にも、外側からの国民の応援もなく(もちろん沖縄の人は応援したと思いますが)、日本は目隠しをされている所もあると思いますね。重要な情報が提供されていないですよね。メディアも鳩山さんの足を引っ張るようなことをやったのではないか。外交姿勢を「実現しそうにない」とする批判が多かった。メディアこそ、日米地位協定の不平等性の問題提起や、国民の命を守る、主権を回復するための報道を多くすれば、味方を増やすことができたと思う。鳩山さんが役所の中でも政府の中でも、党の中でも応援する体制が取れていなかった。
●山崎:
その鳩山由紀夫元首相がシンクタンク「東アジア共同体研究所」を4月1日に設立し、孫崎氏が無報酬で所長に就任するそうです。政府を出た立場から普天間問題に取り組むということで、動向に期待したいですね。
特にアメリカとの関係から、司法が独立していないという事ですが、対外的に日本政府が弱腰であるのは、1972年以来、初めて日本の刑事犯罪人が中国で死刑執行になった時、日本政府は自国に自国民保護という義務を果たさず、声明も出さず救済もしなかった。(日弁連会長として先生は立派な声明を出されましたが)当時、私は日弁連のホームページで拝見し、拉致問題と根っこは一緒ではないかと思いました。家族はずっと声を上げて来たにも関わらず、1996年に産経新聞の記事が出るまでは、外務省も承知していたのに、政府として何も動かず、救済もしなかった。それに比べてアメリカは(CIAの基地を通じて、今でもグアンタナモに拉致するという意味では拉致国家でもありますが)、北朝鮮にアル・ゴアさんは放送局の女性記者2人が捉えられた時、あるいはNGOの自国民が捉えられたとき、すぐに大物を送ってちゃんと取り返して帰ってきています。数週間単位で取引きできるわけです。仮に拉致国家であっても、自国民に対しては取り返す、という凄まじい政治力を発揮しています。しかし日本は、未だに政権が変わる度に拉致議連の方をもてなしては決意表明をしますが、実際には取り返せていない。政治家や行政の怠慢、自国民の保護に関してどう思われますか。
●宇都宮氏:
政府もそうですが、役所にやる気がない。やらないまま来てるから惰性になってきているのか、やっても無駄だと思っているのか、非常に鈍感になってきている。どういう心境かはわかりませんが非常に消極的ですね。言うべきことを言った方が、相手にとっても良いことだと思うんですが。リアクションを考えてしまうのか、その辺の判断が、特に外務省は消極的ですよね。
[ハーグ条約に関して]
●山崎:
先日、姫井由美子さんにインタビューしましたが、彼女は司法書士として、昔から人権や暴力、過労死の問題に取り組んでこられました。今後、安倍政権が訪米する手土産として、日本もハーグ条約に締結しますとおっしゃっていましたので、今国会、次の国会で通ってしまうと思います。この問題はTPPと同じで自国民保護の問題です。私はWomenSavingJapanというネットワーク立ち上げの準備をしておりますが、先生と姫井先生に法律顧問を引き受けていただきたいと思っています。
日本の女性が、主にアメリカで国際結婚をして、アル中や家庭内暴力に苦しんで、命からがら子供だけ連れて日本に帰ってきたにも関わらず、ハーグ条約を締結してしまうと、今までは犯罪でなかったことが、アメリカから見ると「これは拉致で犯罪」となってしまう。日米犯罪人引渡し条約に基づいて引渡請求をしてくる。外務省がスルーして法務省に丸投げしますから、法務省は90日規定で、90日以内にアメリカにほぼ無審理で引き渡します。アメリカでは公正な裁判は行われず、自国の裁判所や政府が渡したという事は、それなりの審理を終えて犯罪者と認めたからであり、殺人者でない限り、普通は自国民を簡単に引き渡さない。本国で認められたということで、裁判抜きの「人質司法」で長期拘留されるか、あるいは無理やり司法取引されて犯罪者となって永久追放される。子供とは生き別れになって、お母さんはブラックリストに載り、アメリカに帰ることもできない。そういう事態が待っている、ということ。
私自身、日米犯罪人引渡し条約の被害者であり、そういった体験をしています。アメリカが「犯罪を犯した」と言う時間には日本に居ました。犯したという事実は全く存在せず、調査は捏造で、最初から最後までアメリカの警察や日本の外務省、法務省は、ただの一度も任意の事情聴取、取り調べもしないまま、私は人質司法でニューヨークの拘置所に652日間入れられました。
両親が外務省に邦人保護を訴えても門前払い。私も日本の領事館に助けを求めましたが「忙しい、手が回らない」と。喘息の発作で死にかけた時、ワシントンの大使館に1度だけ電話することが許され、ある方が嫌々ながら1本電話したら「死なれたら外交問題になる」と思ったかどうかは知りませんが、10日後に囚人服のままJFKの空港から成田に降ろされました。戻ってきて、親にも絶縁され、身よりも会社もお金もないまま、死にそうになって倒れてる所を聖路加のチャペルに助けてもらいました。
国民救援会や青年ユニオンなどを訪ねても、当時の私は弁護士をどのように使っていいのか、刑事事件と民事事件の違いすら知らず、助けを求めながら、今になって司法を勉強しています。
日米犯罪人引渡し条約も、日米地位協定も、日米安保条約も、TPP条約も、ハーグ条約も全部、国際法の方が日本国憲法より上位法で有利だ、と憲法98条の2項を拡大解釈し、あるいは誤った解釈が伊達判決と砂川裁判で出てしまっている以上、私のケースのように、アリバイがあろうと冤罪とすぐにわかる場合でも、外務省や法務省が手続き法として自動的に渡してしまう。私がアメリカに引き渡された日、私の身柄は国内に居ながらアメリカに引き渡され、外務省所属の私のパスポートは東京拘置所でアメリカに返上されてしまいました。だから、私は成田に帰ってくるまでずっと、無権利状態でした。日本国民としての保護も一切受けられず、保護してほしいとお願いする文章も所持していないので、私は何人でもなく、番号だけで呼ばれていた。
日本政府ほど自国民を簡単に手放し、救わない国は無い。ハーグ条約によって普通の一般の日本女性でも、どれほど簡単に引き渡されるか。私の体験は、良い判例となるでしょう。
帰ってきた後、日隅一雄先生と海渡雄一先生が調べてくださった結果、冤罪の可能性が強いということでテレビ朝日のサンデープロジェクトがアメリカに飛んで、冤罪の証拠となる番組を作ってくださいました。
無権利状態の人が向こうで犯罪者扱いされ、裁判の道もなく有罪になってしまう。第二、第三の、私のような人が生まれないように、勉強会や備える会、恐ろしいハーグ条約に対抗する準備のため、先生にはご指導いただきたいと思います。これから、どのように準備して行ったらよろしいでしょうか。
●宇都宮氏:
国内法の整備が問題になると思います。整備の過程でDV被害を受けた方を連れて帰った場合の適用除外とでもいいますか。ハーグ条約だと無条件に子供さんを戻さないといけませんが、もともと男性の側に問題があってDVの被害を受けた人が子供を連れて帰った場合、適用除外できるこということですね。
その辺の審査を日本国内の裁判所で行える体制を整えること。女性の被害者は、お金がない場合が多いから、法律扶助を適用し、自分たちの主張を採用してもらえるような弁護士に依頼できるようなシステムを作ることで、一方的に子供が戻される、あるいは犯罪者とされるということを防ぐような国内法の整備が重要になってくると思います。
もちろんハーグ条約が締結されなければ、そういう問題は起きないわけですが。
日弁連では女性弁護士が憂慮して、行政の平等委員会などの活動をしていると思います。
●山崎:
ここで、30近い先生のご著書の中から、一部紹介させていただきます。

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「弁護士、闘う―宇都宮健児の事件帖」
〜NPO法人自立生活サポートセンターもやい事務局長・湯浅誠氏の帯文より〜
「いばらない,きどらない,かざらない.
良心的で,良識的で,だけど徹底的.
公平で,公正で,そして弱者の側に立ちきる.
現場を持ち,社会に訴え,そして政治に働きかける.
私たちは,闘う弁護士宇都宮健児に,
理想的な活動家像を見る.」

〜内容紹介・抜粋〜
「『派遣村』の名誉村長、また『反貧困ネットワーク』代表として大活躍中の宇都宮健児弁護士波乱の半生記。(中略)一二年間で二回のクビに泣いたイソ弁時代からはじまって、サラ金、ヤミ金融といった高利貸し、豊田商事をはじめとした悪徳商法やその背後の権力や暴力団、そしてオウム真理教を相手にした被害者救済のための死に物狂いの闘いが臨場感たっぷりに語りおろされる。一貫して弱者のために闘い続け、今、最大の敵『貧困』に敢然と立ち向かうその姿は、貴重な社会勉強の糧となり、また、いまの社会に暮らす誰もに生きる勇気を与えるに違いない。」

 

 

 

 

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たくさんの活動をされる中で、2012年、都知事選に出馬される前は、政治に直接は関与されていないということですが、党派関係なく日本の政治や将来を語る、例えば、消費税、TPP反対を党是とする小沢一郎氏との対談の機会などありましたら、ご参加いただけますか。
●宇都宮氏:
なたとでも、大丈夫です。

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[死刑制度に関して]

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●山崎:
先生は「反貧困ネットワーク」代表、「派遣村」名誉村長であると同時に、死刑廃止論者でもあるということですが、ヨーロッパの人権委員会が「日本の死刑制度はあまりにも前近代的だ」ということで査定に来たとき、私は通訳をしました。その時の担当者だった田鎖さんと一緒に、名張の事件(名張毒ぶどう酒事件)で奥西さんのいらっしゃる名古屋拘置所にも参りました。死刑廃止について、感情的な問題で、日本人の中には容認者も多いと思いますが、先生はどのように啓蒙していけば良いと思いますか。
●宇都宮氏:
社会的議論をすべきですね。多くの死者が出るような事件の場合、センセーショナルに報じられますから、アンケートを採ると死刑を維持すべきだという世論が多いようです。一方で日弁連が支援してきた冤罪事件では、死刑が確定してから再審の結果、冤罪だとわかったケースは4件くらいあります。死刑判決ではないですが、布川事件や足利事件など、裁判所の判断で有罪とされていたのが冤罪だった、というケースもあります。死刑を断行してしまうと、冤罪事件を回復しようにも取り返しがつかないですね。飯塚事件の時はDNA鑑定がまだ行われられていなかったですが、足利事件と同じような展開になった可能性はあると思います。
この問題でシンポジウムを開いたときに、ノルウェーのオスロ大学教授・ニルス・クリスティさんから感銘を受けたのが、「すべての人間は誰しも、犯罪者として生まれてくる人間はいない」という言葉でした。色々な環境によって犯罪者となるのであって、教育を与えることによって犯罪者は社会的に再統合できるのだと。これが刑罰の意味であるという言われたことが印象に残っています。殺人を禁止している国が殺人を犯してもいいのか、という道義的な問題もあります。日本では死刑制度を維持することが抑止力になると言われますが、因果関係はないということです。死刑廃止は世界的傾向であり圧倒的多数で、死刑制度を維持している方が珍しいのです。隣の韓国では、死刑制度はありますが、10年くらい執行していない。そういう事実を国民に知らせなければならないのに、多くの国民は「死刑執行が一般的だろう。アメリカや中国がそうだし、それが世界の全体だ」と誤解しています。国連加盟国の中で100数十カ国が廃止している。そういう事実を知ってもらって、冷静に国民的な議論を。

 

 

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[冤罪を防ぐために]

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●山崎:
取り調べの可視化問題は、最初、民主党が力を入れていましたが、いつの間にか立ち消えになってしまいました。2009年、弁護士会館で菅家利和さん、江副浩正さんを招いて集会を開き、私も出席しました。
江副浩正さんの言葉で印象的だったのが「犯していない犯罪でも、壁際に長時間立たされ、『罪を認める供述をすれば、大事なリクルート社の存続は保証するし、関係者もパクらない。お前が否認している限り関係者もパクられ、会社は潰れるぞ、いいのか』と脅され、虚偽の証言、自白調書にサインしてしまった」と悔い、自分を責めておられた。虐待的、拷問的な取り調べで拘禁反応に悩まされ、ずっと精神を安定させる睡眠薬を飲んでおられたそうです。
有罪か冤罪かに関わらず、取り調べを可視化しないことで犯罪的な拷問が行われる。免田事件の免田栄さんも、 出所して30年以上経つのに犯罪者扱いされ、一旦拘禁されて刑務所に行くと普通の生活には戻れず社会も受け入れてくれない、と仰っていました。このような冤罪を防ぐためには、取り調べの全面録画や録音が必要だと思います。運動が萎んでしまった今、どうしたら法制化していくことができるでしょうか

●宇都宮氏:
冤罪を防ぐために重要な点は3つあると思います。取調べの全過程を録画・録音すること。そして検察官の手持ち証拠を全面開示させること。法律によって強制的に出させる。足利事件等によっても、それまでは手持ち証拠の中に被告人に有利な証拠があったのに、それが出されず再審段階になって出てきたり、別の証拠をDNA鑑定することでわかる事実もある。東電OL事件のゴビンダさんもそうでした。
検察官は国の役人であり、手持ち証拠は税金で集めている国民共有の財産です。それを検察官が独占・取捨選択して法廷に出すというのは問題。手持ち証拠のリストを開示し、チェックできる体制を取らないといけない。「人質司法」と呼んでいるが、長期拘束を容認している。起訴後の保釈請求を否認する場合は、逃亡の恐れや証拠隠滅の恐れがある、という理由で保釈を認めない。罪を認めたら、初めて保釈を認める、と。意に反して自白するという傾向が多い。ということは、否認すればするほど長期間拘束されることになります。

●山崎:
私もアメリカで「否認していれば未決のまま、5年でも入れられるぞ」と言われました。

●宇都宮氏:
取り調べの可視化と、検察官の手持ち証拠の開示、長期拘束を強要するような「人質司法」を変える必要があります。これを広げるためには弁護士会だけではなく、市民運動広がることも重要だと思います。冤罪被害者を支援した人たちが横につながって世論に訴えていく、市民運動の力が重要ではないかと思います。

●山崎:
ありがとうございました。どの問題も非常に重要ですね。落選されて残念でしたが、第二期も応援している弁護士の方は多く、私も引き続き政治活動を続けられることを願っています。
先生は度々、「市民の教育と啓蒙」と仰いました。大手マスコミは取り上げる事はありません。マスコミは政府のプロパガンダの発表ジャーナリストようになっていますが、今後も宇都宮健児・司法講座の連載のようにさせていただきたいので、引き続き教えてください。

 

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〈インタビュー終了後のひとコマ〉

●宇都宮氏:
ニルス・クリスティさんに来ていただいたのは、夏休み野外キャンプで7〜80人殺害された乱射事件の後でした。こういう時に、日本では「死刑復活論」が出てくるので。ノルウェーでは死刑復活論は起きていないそうですが、国情の違いですね。

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〈資料〉

◎死刑停止から廃止へ、議論を呼びかける日弁連初めての宣言
「罪を犯した人の社会復帰のための施策の確立を求め、死刑廃止についての全社会的議論を呼びかける宣言」http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/civil_liberties/year/2011/2011_sengen.html

◎「日米地位協定入門」の論拠となった書籍の1つ:
「9条『解釈改憲』から密約まで 対米従属の正体 〜米公文書館からの報告 /末浪靖司(著)」

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【参考資料】

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日本弁護士連合会(日弁連)のTPPへの対応がおかしい

2012 09 22

http://www.nichibenren.or.jp/jfba_info/publication/newspaper/year/2012/457.html

日弁連新聞第457号日弁連短信「通商交渉と弁護士のコアバリュー」

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によると、
「TPPへの交渉参加問題を巡り、日弁連の立場について問い合わせをいただくことがある。しかし、意見形成の前提となる協定案や交渉内容の確認ができないため、現段階では意見を取りまとめるに至っていない。」ということなのだが。
この後に、こう述べている。
「外務省の説明によると、交渉参加国と非参加国との間では情報共有や協議が禁止されており、現在協議が行われている二一分野の具体的内容や条文案は、日本政府の交渉参加が認められてはじめて開示されることになるという。(中略)
今春以降、日本が交渉に参加した場合には、これらの各分野について正確な情報を入手した上で、関連委員会にて調査検討して、テーマごとに必要に応じ意見を発信していくことになると思われる。」
私がおかしいと思うのは、
「交渉参加国と非参加国との間では情報共有や協議が禁止されており」とは、「交渉内容を公表しない合意があり、交渉文書は協定発効後4年間秘匿されることが、ニュージーランドのTPP首席交渉官の発表で分かっている」ことに関係していて、まさにそのことが国民の主権や知る権利を犯しているとは考えないのか、ということだ。
「交渉文書や各国の提案、関連資料を入手できるのは、政府当局者のほかは、政府の国内協議に参加する者、文書の情報を検討する必要のある者または情報を知らされる必要のある者に限られます。また、文書を入手しても、許可された者以外に見せることはできない」のだが、この「政府の国内協議に参加する者、文書の情報を検討する必要のある者」にアメリカのTPPを押し進める多国籍企業群があり、多国籍企業群が知っていることを日本国民が知り得ないことになる。

さらに、ISD条項(毒素条項)の問題に日弁連がまったく触れないのもおかしい。
ISD条項とは、「ある国の政府が外国企業、外国資本に対してのみ不当な差別を行った場合、当該企業がその差別によって受けた損害について相手国政府に対し賠償を求める際の手続き方法について定めた条約」。提訴に対しては「国際投資紛争解決センターは、投資家の被害がどれだけだったかの観点のみで審議」。これが非公開、判例に拘束されない、*上訴できない(一審のみ)、*「明らかな法解釈の間違えがあっても、当事国の法機関は正すことができない」。問題は、ここ*だ。
こんなことが、国家主権の観点から、そして国家主権同士の公平公正を重視する国際法の観点からまかり通るのか否か、否とすれば、どういうISD条項修正を要求すべきなのか、日弁連は主張すべきではなかろうか。

前述の短信によると、日弁連は、日本がTPPに参加した場合の、自分たち弁護士の業務について二一分野ごとに内容が明らかになり次第、検討に入ると言っているのだが、法律上の本質的な問題はそんな些末なこと以前の根幹にあるのは明らかだ。

日本はいま、脱原発するかしないか、するならどのように進めるかが国民的な議論になっている。そして国民的な議論の成果がどのように政治や行政に反映するかを国民が注視している。つまり国民主権がちゃんと発揮されるかを注視している。日弁連の弁護士も同じだろう。
ここで、「2022年までに原発を全廃すると発表したドイツ政府に対して、この決定によって、投資が無駄になったとして、スウェーデンのエネルギー企業バッテンフォール社が損害賠償を求める方針」「同社は09年にも、独ハンブルク市が火力発電所に対する規制を強化したことに対して、損害賠償を要求。ICSIDは、14億ユーロの支払いを命令。10年にドイツ政府が和解金を支払うことで和解が成立」といった経緯が注目される。
つまり、国民がいくら脱原発を議論しその成果の政治への反映を期待しても、それとはまったく違った市場原理ないしは市場原理にのっとった規制によって無駄に終わるということがあり得るのである。

私は、こうしたことに触れずなんら具体的な主張をしないのが、日本の弁護士だとは思いたくないので、おかしい、と表現している。

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(参照)
多国籍企業が政府・自治体を訴訟攻撃
TPPの焦点 ISD条項
「主権を侵害」 世界で問題に
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-11-16/2011111603_01_1.html

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3件のコメント on 宇都宮健児氏、山崎ジャーナル!独占インタビュー【憲法98条2項:国内法より優先される国際条約の危険性とは?】=不平等条約TPPの正体と「日米地位協定」。そしてハーグ条約締結へ=

  1. ポッキー より:

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